管内の施設園芸は、高知県の園芸発祥の地と呼ばれ、ナスは産地強化や他産地と差別化するため優れた栽培技術を生かし出荷品のブランド化を進めてきた。JAの「高知なす」の年間取扱数量は2万トンに上る。
同地区は1999年から、害虫の天敵になる昆虫に捕食させたり、害虫を捕獲する粘着シートを設置したりしてきた。害虫発生を抑える天敵利用技術の確立に向け、土着天敵の採集・増殖に取り組んでいる。
2016年には世界で初めて、ナスに含まれる成分「コリンエステル」が血圧の改善などに効果を発揮することが研究で分かった。1日2本の「高知なす」を食べれば、有効量をほぼ確実に摂取できることが判明。包装袋には、「機能性表示食品」「高めの血圧(拡張期血圧)が気になる方へ」と記載し、本品に含まれるナス由来コリンエステル(アセチルコリン)には拡張期血圧を改善する機能があることを示している。
県内で急速に面積が増加した新品種「PCお竜」(単為結果性品種)への普及拡大に伴い、実証試験や栽培技術確立が急務になっている。「PCお竜」はホルモン処理や蜂による受粉がなくても安定的に着果肥大することから、管内では7割の生産者が移行している。
現在、力を注いでいるのが、スマート農業を導入し、リアルタイムでモニタリングすることで、ハウス内の環境を把握することだ。生育に適切な条件へ近づけることで品質、収量の向上や管理作業の省力化にも取り組む。
安芸営農経済センターの大谷順之部長は「県が進める農業データ連携基盤クラウドのSAWACHI(サワチ)は、営農情報や出荷データも確認でき、収量、品質向上に期待している」と話す。
安田町で30年前から環境保全型農業に取り組む県域高知なす部会長の清岡克弘さん(64)は「地域の担い手の受け入れや、ナスに最適な管理を更新することが大事。機能性などの取り組みを強化し、消費者が安全に食べられるナス作りに励みたい」と話す。