<ことば> アライグマ
北米原産の哺乳類。1970年代にペットとして大量輸入されたが、脱走や遺棄が相次ぎ、野生化した。農作物の他、ニホンザリガニなど在来種も捕食する。
特定外来生物の中でもアライグマによる農業被害額が02年度に最大となり、より多くの人が捕獲できる制度を求める声が上がった。
特例措置は、都道府県や市町村が特定外来生物の「防除実施計画」を立案し、箱わなの取り扱いや捕獲後の処分方法などについて市民対象の講習会を開催。講習会参加者は防除対象動物を指定地域に限り捕獲に携われる。
措置導入後の06年度はアライグマの全国捕獲数1万頭のうち特例による捕獲が3899頭だったが、19年度には6万6000頭のうち3万8000頭と10倍に増え、捕獲総数の過半数を占めた。
千葉県は08年度に導入し、これまでに主に市町村職員を対象に講習会を開催。19年度には都道府県で最多の6270頭を捕まえた。捕獲数2位の北海道では各市町村が市民向けに講習会を開催。茨城県は県民対象の講習会を開き、受講者は県内全域で捕獲できる。
農作物被害はスイカ、トウモロコシ、ブルーベリーなど多岐にわたる。捕獲数が増える一方、被害も増え続け、21年度は4億1400万円で過去最多タイ。市街地の空き家や屋根裏にすみ着き、ふん尿による生活被害も起きている。(佐野太一)
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