任期を終えた隊員1万1123人の定住状況について調べたところ、64・9%に当たる7214人が活動地と同じ市町村か近隣の市町村の同じ地域に住んでいた。
直近5年に任期を終え、同一市町村に定住した4463人の隊員のなりわいは、最も多いのは「起業」の2048人(45・9%)。「就業」は1590人(35・6%)、「就農・就林」504人(11・3%)、地域の小売店などを継承する「事業承継」が56人(1・3%)だった。就農・就林者のうち「農家」は同85人減の403人で、22年度(488人)を下回った。
「起業」では農家レストランや農家民宿、農作物の通信販売など農業関係も多く、「就業」では農業法人なども目立ち、農的な仕事を選択する隊員が多いことが分かった。
同省は「働く選択肢が増え、直近で農家になった隊員は減っているが、大きな要因があるわけではない」と説明。その上で「農業が隊員任期後の大きな割合を占めている。協力隊制度が就農の一つのルートとして定着したといえる」と分析する。
23年度の隊員7200人の60%が男性、40%が女性。年齢別では20~29歳が34%で最も多かった。次いで30~39歳が34%、40~49歳が19%だった。
隊員数を都道府県別で見ると、最多は北海道の1084人。次いで長野県の461人、福島県の313人だった。隊員を受け入れた自治体数は同48増の1164に上り、過去最高を更新した。同省は26年度までに1万人の目標を掲げている。
<ことば>地域おこし協力隊
国が2009年度に始めた地域活性化策。隊員は過疎地などに住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PRなどの地域おこし支援、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら定住・定着を図る。任期は1~3年。