64年の有線放送に幕 三ヶ日みかん発信に貢献 静岡・JAみっかび
これまで1日に4回、自主制作番組を放送。営農情報では、冒頭にミカンの花をテーマにした童謡を流して防除を呼びかけるのが定番だった。有線から曲が流れ始めると管内で一斉に防除が行われるなど浸透し、「三ヶ日みかん」のブランド力向上に貢献した。
管内のニュースや文化歴史の紹介に加え、子どもの歌など多くの地域住民の声を届け、地域のつながりを強く意識した番組を放送してきた。
3月半ばに収録に訪れた「三ヶ日町郷土を語る会」の会長、河西正和さん(83)は「8年間、毎月1回は収録に来ていた。楽しみに聞いてくれている人もいたので、なくなるのは寂しい」と話した。
約11年間、アナウンサーとして番組制作に関わってきたJA職員の石原奈緒さん(35)は「長年続いてきた有線放送に携わることができて良かった。多くの人の協力でここまで続けることができ、感謝している」と語った。
有線放送が担った情報伝達の役割は今後、スマホに置き換える方針で、高齢者のサポートを進める。
<メモ> 総務省によると、最盛期の1963年度末には全国で2649の有線放送電話施設があった。現在は全国でもわずかしかなく、施設数は公表していないという。JAみっかびの施設は東海地区で唯一続いていた。