小屋で“1泊”した熊捕獲 木の実凶作で激痩せか 秋田県仙北市
同市で食堂を経営する桜田綾子さん(77)が9日午後4時50分ごろ、店舗兼自宅裏にいる熊を発見した。桜田さんが追い払うために爆竹を鳴らしたところ、小屋に逃げ込んだ。生ごみを屋外に放置しないなど対策はしていたという。熊は小屋に1晩居座り、10日早朝、おりに入った際に地元猟友会が捕獲。けが人はいなかった。
現場は田沢湖畔の観光地「たつこ像」近くの土産物店などが並ぶ一角。周辺では今年、雪解けも早かった。市担当者は「熊の出没情報も例年より早く寄せられている」と話す。
周辺の農家も警戒を強める。近隣では「西明寺栗」がブランド。生産者は副収入としてきたが、熊の出没防止のため、栗の木を伐採した農家も多い。近くに住む猪本佐代子さん(69)は、ライトを点滅させたり、鈴を鳴らしたりして自衛しているが「熊が慣れてしまって効果はない」と嘆く。
環境省によると、全国の熊の出没件数(速報値)は、1月190件(前年同月42件)、2月126件(同50件)と、冬季も高止まりしている。岩手大学農学部の山内貴義准教授(野生動物管理学)は「4月に熊がこれほど人里に下りてくるのは珍しい。熊撃退スプレーなどで自衛してほしい」と呼びかける。