竹×培養土で花咲かす 生育順調、コスト・労力削減へ 大阪府立園芸高と神戸学院大
両校では2021年度から竹資材を使った花栽培に取り組んでいる。同大学の菊川裕幸講師によると、花きでの竹利用は全国でも珍しい。これまでに菊やパンジー、ハボタンなど6品目で試験した。
試験では放置竹林から伐採した2、3年生のモウソウチクを使った。5ミリ以下に粉砕した竹チップや、竹チップを野積みにして3カ月置いた竹堆肥の他、竹炭、竹パウダーなどに加工。ホームセンターなどで買える市販の培養土を使い、竹資材を混ぜた試験区との生育を比較した。
結果、品種によって適した資材、配合が分かった。例えば、デイジーなら培養土の5割を竹チップに置き換えた試験区が、培養土だけを使った栽培と同程度の生育を維持した。その他にも、デイジーとクリサンセマムは培養土の5割を竹堆肥に、ハボタンやパンジーは培養土の1割を竹炭に置き換えた試験区でも生育が良かった。いずれも竹チップだけで育てた場合は枯れた。
同高校フラワーファクトリ科の大串颯介さん(18)は「竹は軽いので高齢の農家の負担軽減にも貢献できる」と話す。1ポット当たりの重量を比較すると、培養土が176グラムだったのに対し、竹チップは約半分の95グラムだった。培養土と竹堆肥を混ぜても、培養土だけの試験区に比べて1ポット当たり30グラム軽い。
両校は今後、観葉植物やラン、ハーブでも試験する予定だ。同高校の松川雅哉教諭は「水コケに植えるコチョウランなど、培養土を使わない花でも有効なら、資材を輸入せず国内の未利用資源に代替できる」と期待を寄せる。
竹林面積増、整備課題に
林野庁によると、全国の竹林面積は2022年3月末時点で17万5000ヘクタール。5年で8000ヘクタール以上増えた。担い手の減少などで管理が行き届かず、放置されている竹林も少なくない。竹が宅地や農地に侵入したり、鳥獣のすみかになったりして、放置竹林の整備が課題となっている。
菊川講師は「産業廃棄物となる培養土と違い、竹は燃えるごみで捨てられる。農業だけにとどまらず、家庭向けの鉢植えにも需要がある」と展望する。