普及面積日本一!「バスタ液剤40L」

茨城・JAなめがたしおさい

2021年度の「バスタ液剤40L」の普及面積が日本一となった茨城県・JAなめがたしおさいの取り組みについて、JAなめがたしおさい なめがた地域センター経営支援課の皆さんにお話を伺いました。

JAなめがたしおさい なめがた地域センター経営支援課の皆さん

JAなめがたしおさい なめがた地域センター経営支援課の皆さん

JAなめがたしおさいの概要

JAなめがたしおさいは19年2月に行方市・潮来市を管内とするJAなめがたと、鹿嶋市・神栖市を管内とするJAしおさいが合併して誕生しました。茨城県の東南部に位置しており、霞ケ浦・北浦・鹿島灘に挟まれ、半島状の地形となっており、行方台地・鹿島台地には肥沃な畑作地帯が広がっています。台地では、大規模畑作によるサツマイモやエシャレットなどの露地野菜の他、メロンなどの施設を用いた果菜類が生産されています。東南部では、ピーマンなどの生産が盛んで、日本一の生産量を誇ります。また、茨城県内でも最大規模の農業地域であり、農産物販売高は200億円を超えます。

JAなめがたしおさい甘藷(かんしょ)部会連絡会

1976年に生産者35名で設立。現在は生産者数238名、面積750ha、販売額41億4千万円の大産地に。17年度第56回農林水産祭において天皇杯を受賞(多角化経営部門「味で勝負する「焼き芋」販売戦略による地域活性化と農家所得の向上」)。

JAなめがたしおさい 甘藷部会連絡会 部会長 髙木雅雄さん

JAなめがたしおさい 甘藷部会連絡会 部会長 髙木雅雄さん

まとめ買いでお得に 自宅配送で労力も軽減

JAのTAC(地域農業の担い手に出向くJA担当者)担当部署である、なめがた地域センター経営支援課では、担い手の声を聴き、そのニーズに応えられるように、有益な情報や資材をいかに担い手農家に届けられるかということを第一に考えた取り組みをしています。

JAなめがたしおさいは、サツマイモの大産地です。約300人からなる部会の皆さんの中でも、畦間処理ができることから「サツマイモの除草剤はバスタ」と認識されています。産地でも認知度の高い「バスタ液剤」に「担い手直送規格」が登場したということで、生産コスト低減に向けた提案の一環として、「バスタ液剤40L」をおすすめしています。

部会員の皆さんへの提案はサツマイモの収穫ピークが過ぎる12月から行っています。従来の大型規格「バスタ液剤10L」は配布する肥料農薬注文書に掲載しているだけでしたが、担い手直送規格の「バスタ液剤40L」については、別刷りで専用注文書を作成し、肥料農薬の注文書とともに、部会員の皆さん全員に全戸配布しました。担い手への訪問を重ね、具体的なコスト低減内容や40Lの荷姿規格(10L×4本)について知ってもらう取り組みも行っています。大型の規格だからといって、大規模に作付けをしている生産者の方に限らず、全戸配布での提案を行っています。その結果、大規模生産者の方はもちろんのこと、年間使用量が40Lに満たない生産者の方であっても、まとめて買うことでお得になるという魅力を感じていただくことができ、購入いただくケースがありました。

また、JAをあまり利用されていなかった方でも、担い手直送規格によるコスト低減の取り組みに理解をいただき、新規に発注をいただくケースもありました。

担い手直送規格は、薬剤のコスト低減だけではなく、労力の軽減にもつながっています。現在、JAなめがたしおさいでは、農薬の予約注文の配送は生産者の方による自己取りが主となっています。担い手直送規格に取り組んだことで、皆さんのお宅に直接配送されるため、JAに取りに行く労力が削減できたと生産者の方々からも好評をいただいています。JAとしても、職員の業務時間の削減ができ、空いた時間は訪問に伺う時間に充てられています。

担い手の所得向上を目指して

昨年の担い手直送の取り組みは非常に好評をいただきました。今年もサツマイモの収穫ピークが過ぎる12月からの提案を予定しています。昨年、おすすめした際には「在庫があるから今年は頼めないけど、来年はぜひ注文したい」という声をいただいた方もいますので、お得な規格としてより一層の周知を図り、部会員の皆さま全戸に訪問して提案したいと思います。

JA自己改革の中でも担い手のコスト削減を掲げています。担い手直送規格によるコスト低減の提案を行うことによって、担い手の所得向上が叶えられるのは担い手にとっても、JAのTACにとっても喜ばしいことです。担い手への訪問を重ね、ニーズを聴き取り、それに応えていきたい。トータルで担い手所得向上につながる有益な情報や資材を、しっかりと届けられるようにこれからも取り組んでいきます。


産地としては昨今の焼き芋ブームの火付け役であるJAなめがたしおさいのサツマイモが近年その功績が認められて第56回農林水産祭において天皇杯を受賞しました。味で勝負する「焼き芋」販売戦略に取り組んでおり、焼き芋に適した品種として、JAなめがたしおさい甘藷部会の独自ブランド紅優甘(べにゆうか)・紅まさり・紅こがねの生産による、周年でのリレー出荷体系が確立されています。国内にとどまらず、焼き芋の文化を世界へ発信することを目指しており、 カナダやフランスで行った試食販売も好評をいただいています。 本物の味で現地の消費者の心をつかみ、さらなる販路開拓に取り組んでいきます。


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