夏秋作型向けトマト品種の特性
トマトの夏秋取り栽培は、地球温暖化の影響を受け、着果不良、裂果などの生理障害、および青枯病、黄化葉巻病、コナジラミ類などの病虫害が増加する傾向が見られる。近年育成されたトマト品種には、生理障害では、高温期の着果不良や裂果の抑制という点で改善されたものが多く、これらの点に注意して品種を選びたい。
また、病害抵抗性では、黄化葉巻病抵抗性品種の育成が活発で、その中には日本人の嗜好(しこう)に適した良食味を持つ品種も増えている。しかし、黄化葉巻病抵抗性品種は節間がやや長いものが多い。高軒高ハウスなど大型施設では、節間が多少長くても大きな問題はなく、受光量が増えるため増収が期待されるが、軒の低い比較的小型の施設での栽培では、つり下ろし回数が増えるなど労力の負担増加が懸念される。このように、黄化葉巻病抵抗性品種の選択では、食味の良否や節間長の長短などについて注意したい。
また、温暖化により青枯病による被害拡大も懸念される。通常の穂木用品種の中には、青枯病にある程度の抵抗性を示す品種もあるが、青枯病常発地ではその抑制効果は小さい。そのため、抵抗性台木用品種への接ぎ木により被害を抑制することを勧める。台木用品種の育成も活発に行われており、最近では青枯病にかなり強い抵抗性を保有する品種も育成されている。台木用品種の選択では、収量性なども重要であるが、青枯病抵抗性の強弱にも着目した方が良いだろう。