病害虫対策

病害対策/黒腐菌核病の防除

京都府農林水産技術センター 生物資源研究センター
応用研究部 主任 門馬悠介

ネギの主要病害には、黒腐菌核病、黒斑病、べと病などがある。これらの病害は、いずれも多発すると減収につながることから、発病前もしくは発病初期の予防防除が重要となる。ここでは、京都府の九条ネギ栽培において特に問題となっている、黒腐菌核病の防除対策について紹介する。

黒腐菌核病の特徴

本病に感染したネギは、地際部が腐敗し、その周辺に灰白色の菌糸やゴマ状の微小な菌核が大量に形成される(写真)。これによって葉は黄色く枯れあがり、大きな減収となる。また、調製作業で被害部を取り除いても、冷蔵保存中に新たに腐敗することがあるため、わずかな感染でも商品価値が損なわれ、大きな減収につながる。

黒腐菌核病に感染したネギの地際部

防除対策

植物体上に形成される菌核は、土壌中で10年以上生存することがある。そのため、発病歴のある圃場(ほじょう)では、さまざまな技術を組み合わせた総合防除を講じることが重要である。なお、白ネギ栽培においては、トウモロコシ、緑肥作物などとの輪作、定植前の土壌消毒、株元への石灰施用を組み合わせた防除体系が有効であると報告されている。これらを行うに当たっては、作業労力とコストを十分考慮する必要がある。

有効薬剤

本病に対しては、複数の薬剤による防除効果が既に報告されている。生育期では、ピラジフルミド水和剤およびフルジオキソニル水和剤の散布、ペンチオピラド水和剤の株元灌注(かんちゅう)、シメコナゾール粒剤の株元散布の防除効果が報告されている。また京都府農林水産技術センターでは、ピラジフルミド水和剤を9、10月の定植前にセルトレイ灌注することにより、収穫期まで高い防除効果が得られることを確認している()。

当センターでは現在、本病の新たな防除技術の一つとして、微生物を利用した防除技術の開発に、生産者、大学、資材メーカーなどと共同で取り組んでいる。

図1 ネギ黒腐菌核病に対する定植前セルトレイ灌注処理の防除効果(京都府農林水産技術センター,2021を改変)

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