病害虫対策

害虫対策/ネギハモグリバエの防除

京都府農林水産技術センター 農林センター 環境部
技師 中島優介

京都府におけるネギ栽培において7月~10月ごろまでに問題となる害虫は、ネギハモグリバエおよびシロイチモジヨトウが中心となる。葉ネギ栽培では、両種が収穫物である葉を直接加害し、わずかな加害でも商品価値が低下するため防除は難しい。ここでは、最近わが国での発生が確認されたネギハモグリバエバイオタイプBの発生生態と薬剤殺虫の効果について紹介する。

白化被害を起こすバイオタイプB

ネギハモグリバエは、幼虫がネギ、タマネギ、ラッキョウなどの葉を食害し、潜孔痕(せんこうこん)を形成する害虫である。本種は、2000年ごろに葉ネギ栽培地域において多発し、その被害が問題になったが、その後、防除効果の高い殺虫剤の開発および普及により、いったん沈静化した。しかし、16年ごろから京都府内の露地ネギ栽培において、従来とは異なる、ネギ葉全体が白化する被害が見られるようになった。遺伝的に異なる系統の発生が疑われたため、遺伝子を調べたところ、従来の系統とは異なる別系統であると判明した。その後、幼虫による食害痕の違いから、従来の系統はバイオタイプA、別系統はバイオタイプBであるとされた。わが国におけるバイオタイプBの発生は、22年7月1日現在、北は東北地方、南は九州地方までの合計32都府県で確認されている。

バイオタイプA(左)とB(右)の幼虫による被害

バイオタイプAとBの発生状況

バイオタイプAの食害痕は、非連続的で1~数匹程度で葉を加害するのに対し、バイオタイプBは連続的で、10数匹で葉を集中加害する(写真)。京都府において、バイオタイプBの発生は府内全域で確認されており、優占的であるのに対し、バイオタイプAの発生は局地的である。また、京都府における本種の発生は5、6月および9、10月ごろに増加する二山型であり、特に9月以降に被害が増加する傾向にある。

バイオタイプBへの殺虫効果を示す薬剤

バイオタイプBの幼虫に対して高い殺虫効果を示した殺虫剤は、シペルメトリン乳剤、チオシクラム水和剤およびシアントラニリプロール水和剤であった。また、バイオタイプBの成虫に対して高い殺虫効果を示した殺虫剤は、シペルメトリン乳剤およびフルキサメタミド乳剤であった()。

ネギハモグリバエバイオタイプBに高い殺虫効果を示した薬剤

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