営農動向

燃油価格高騰は長期化
ハウスの省エネ対策徹底を

日本農業新聞 営農生活部

施設園芸の加温に使う燃油価格の高騰が長期化している。今季の冬春トマト栽培では、ハウスの気密性向上や「変温管理」といった基本的対策の徹底で、燃油使用量を抑える工夫が求められそうだ。燃油高騰時に一定額を補填(ほてん)する、農水省の施設園芸セーフティネット構築事業への加入も検討する必要がある。

A重油の全国平均価格は3月に1リットル111.3円となり、前年同月を29%上回った。新型コロナウイルス禍からの経済回復に伴う需要増で2021年初めから上昇が続き、産油国ロシアのウクライナ侵攻の影響もあって早期収束は見通せない状況だ。

すき間なくそう

燃油高騰を受け、各県は施設園芸の技術対策を呼びかける。熊本県は、ハウスの被覆資材のすき間をなくして気密性を高め、保温効率を上げるよう促す。特に、天井と側面の内張りフィルムのつなぎ目となるコーナー部分や、内張りフィルムと地面との間にすき間ができやすいとする。

時間帯によってハウス内の温度を変える変温管理も、燃油の節減に有効だ。同県は①午前中は25~28度②午後は23~25度③日没から4~6時間後までは13~15度④日の出までを10~12度――の4段階とする目安を紹介。燃油の消費量を5%程度削減できるとする。

栃木県は、温風ダクトの風をトマトの成長点付近に当てる局所加温で、燃油の使用量を抑えられると紹介。厳寒期を避ける作型の検討も呼びかける。8~11月収穫の抑制作型と、4~8月収穫の半促成作型の組み合わせが有効だとした。

この他、農水省の「施設園芸省エネルギー生産管理マニュアル」は、暖房機の清掃やバーナーノズルの交換、ヒートポンプの利用、内張りカーテンの設置による被覆の多層化などの基本対策を促す。両県の対策や同省のマニュアルはホームページから見られる。

補填事業も検討

農水省は、施設園芸セーフティネット構築事業への加入も勧める。燃油の全国平均価格が発動基準価格を上回った場合に差額を補填するもので、22事業年度(22年10月~23年6月)の発動基準価格はA重油が1リットル81.6円、灯油が同86.5円。3戸以上の農家グループや、5人以上で構成する農業者団体が対象となる。省エネルギー設備を導入し、3年間で燃油使用量を15%以上削減する計画を作るのが要件だ。

原資は国と農家が1対1で積み立てる。原油価格の上昇を受け、22事業年度は、発動基準価格を70%上回る高騰(A重油価格で1リットル約140円)時にも対応できるコースを追加した。現在も申し込みを受け付けている。

掲載記事一覧

掲載広告一覧

資料請求いただくと抽選でプレゼント