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【記者の目線】需要は曲がり角・環境変化に対応を

日本農業新聞 農政経済部

 野菜で不動の人気を誇るトマト。総務省の家計調査を見ると、2020年の1世帯当たりの年間支出額は6874円になり、この10年で3割近く増えた。野菜の品目別では群を抜いて多い。

 「消費は好調」と見えるが、15年以降、支出額は増えていない。市場関係者からは「伸びていた需要が近年、曲がり角に来ている」との声が聞かれる。

 消費の頭打ちに伴い、生産にもブレーキがかかってきた。農水省によると、20年の国内出荷量は64万トンで、16年をピークに緩やかな減少傾向だ。トマトは環境変化を捉えた生産販売がより重視されるようになった。

 鍵となるのが、外食や中食などの業務・加工需要だ。単身世帯や共働き世帯の増加に伴って、食の外部化が進んだ。新型コロナウイルス感染拡大で、消費は家庭需要へ再び回帰している傾向があるが、コロナ収束後も見据えれば重要な市場であることに変わりはない。

 業務・加工需要で気になる動きがある。横浜丸中青果は「コンビニに並ぶサンドイッチのトマトは、ここ数年で輸入品に置き換わった」と明かす。皮の固さや果汁漏れの少なさなど、小売り向けとは違う特性が好まれるようになった。「国産は実需者が望む大きさや量を安定供給するのが難しくなってきた」という課題も見逃せない。

 一方で、輸入品がニーズを満たしているとも言えない。コンビニなどに青果物を卸す横浜市場センターは、「加工適性はあっても味の乗りは国産に分がある」と指摘。加工特性を持った上で、国産の強味である食味も備える品に伸びしろを見出す。

 生産と販売側の双方が足並みをそろえて需給ギャップを埋めることが、国産の需要奪還の鍵となる。同社は「品種や規格の安定供給という実需ニーズに応える産地が増えてほしい」と期待する。


 スーパーの売り場では、糖度に色、形、大きさと多彩なトマトが並ぶ。近年、新しい顔として機能性が加わってきた。20年は「機能性表示食品」とうたった生鮮トマトが相次いで発売された。「コロナ禍を受け、健康増進の力を野菜に期待する層は増えている」(関東圏スーパーのバイヤー)。

 JA熊本経済連は、トマトに含まれる血管に脂肪をつきにくくする成分「エスクレオサイドA」に着目。3、4月に「丸の内タニタ食堂」で、機能性成分が豊富に取れる期間限定メニューを訴求した。健康への関心が高い層を足掛かりに、消費の裾野を広げる。

トマトの1世帯当たり年間支出額と国内出荷量
トマトの1世帯当たり年間支出額と国内出荷量
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