【産地レポート】愛知県
新ブランド「とまらん♪」SNSで認知広げる
JA愛知みなみ みなみレッド 代表 小久保 正則さん
冬春トマトの大産地、愛知県。ミニトマトでは2020年度の10アール当たり収量が前年比112%の12.1トン、出荷量も同1割弱伸びるなど存在感を強めている。
JA愛知みなみのトマト生産部会「みなみレッド」は、2001年に調理用トマト生産の研究会として発足。その後、中玉トマト「シンディースイート」と09年からはミニトマト「アイコ」を中心に、冬春ミニトマト産地として定着した。同部会員は渥美半島全域に47人おり、年齢は20代~70代と幅広い。
部会で特徴的なのは、部会員全員が「生産管理部」「品質管理部」「販売部」の3部門のいずれかに所属していること。ただ栽培し出荷するだけでなく、商品としてのトマトに責任を持つという意識付けを図っている。
今作は「アイコ」が1410アールで1600トン、「イエローアイコ」が45アールで70トン、「シンディースイート」が243アールで250トンを見込む。京浜、中京、北陸、関西などの市場に出荷する。
アイコ主力に 土づくりにもこだわり
2年前からみなみレッドの代表を務める小久保正則さん(60)は、トマトづくり40年超のベテランだ。33アールのハウスで栽培する主力の「アイコ」は、「酸味が少なく糖度が高いので子どもにも食べやすい」と自信を持つ。ただ黄化葉巻病耐病性が付いていないため、ハウス周りの除草や薬剤散布を徹底する。
また土耕栽培のため土づくりにもこだわり、かんなくずを半年寝かせて発酵させた木質系たい肥を10アール当たり3トンほど入れている。
インスタで販促 1000人超が投稿
みなみレッドで2年前から力を入れているのが、ブランディングだ。新ブランドとして立ち上げた名称は「とまらん♪」。健康、ナチュラル、スポーティをコンセプトに、トマトの可能性を模索し走り続ける。そして、食べ始めたら止まらないおいしさをアピール。無限大を表すメビウスリングをトマトに見立て、にっこり笑うロゴマークが印象的だ。
新ブランド周知のための店頭キャンペーンが、コロナ禍で自粛を余儀なくされる中、力を発揮したのがインターネット交流サイト(SNS)だ。写真動画共有アプリ「インスタグラム」で展開した「とまらん♪キャンペーン」では、1000人を超えるフォロワーがトマトのレシピや料理の写真を投稿した。さらに第2、第3弾のキャンペーンも好評だ。
小久保代表は、「消費者の声が聞けないのは、生産者としても不安だ。SNSでその距離を縮め、『とまらん♪』のおいしさを知ってほしい」と思いを込める。