食料・農業・農村基本法改正案は、政府・与党の緊密な連携で作り上げた。10~20年後の農業・農村の姿はどうあるべきか、骨太の議論を展開し、今国会で成立させたい。人口減少や輸入不安定化などで転換期にある今、打つべき手を打つ。
農業を持続可能にするには、消費者の選択が重要になる。食料の価格形成に直接的に介入するのは難しいが、コストなど客観的な情報を提示し、消費者の理解を得たい。減収時は収入保険などで補填(ほてん)する。コスト上昇時の対策も今後具体化していく。
民主党政権の戸別所得補償は、土地改良予算を削って実施した。所得向上につながったかも疑問だ。
基幹的農業従事者の数が現在の4分の1に減る見通しの中、1戸当たりの規模拡大が必要だ。一方で、多様な人に携わってもらわなければ農業や農村は成り立たない。多様な農業者は大切だ。
食料自給率の指標は引き続き重要だ。他の指標も組み合わせて、食料安全保障を多角的に検証したい。
関連法案の農地関連法改正案では、農地の総量確保を目指す。農地所有適格法人の出資規制緩和は、要件を課した上で資金調達の道を開くものだ。規模拡大などで資金が必要な場面が想定される。出資者は食品事業者などに限定し、転用などにも歯止めをかける。
不測時の対応を定める食料供給困難事態対策法案は、在庫や生産を巡る情報を提供してもらうのが主眼だ。増産に従わなかったら罰金を科すというものではない。スマート農業関連の法案を踏まえ、予算も確保していく。
水田農業では、引き続き転作助成などの予算確保に努める。スマート農業などで生産性を高めつつ、輸出などに活路を見いだしたい。
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