
東京都内を旅行中か日本に来たことがあるインバウンド約30人の回答を得た。回答者は食べたいと思う農畜産物を最大三つ答えた。

最も人気が高かったのは和牛だ。地域を問わず回答数が多かった。中国・上海から4月下旬に東京都内を訪れた男性のヤン・ナムさん(39)は「本場で食べてみたかった」と話した。特に「神戸ビーフ」と回答する人が目立った。ドイツ人男性(23)は「有名な神戸ビーフを食べてみたい」と話し、海外での認知度の高さを指摘した。
イチゴ
イチゴも国籍を問わず人気だった。米国人男性(32)は「本国で食べるよりも新鮮でおいしかった」と評価する。過去に中国・上海から訪れた女性(58)は「有名だから食べてみたかった」と回答。糖度や外観品質の高さが評価されている。
緑茶
緑茶と回答する人も多かった。スイスから来たサリゴル・アニールさん(34)は「日本にしかない独特な風味が面白い。過去に日本旅行に来た時に試して虜になった」と指摘。オランダ人男性(29)は「オランダの抹茶フレーバーは日本と違う。本物を味わいたい」と話した。
米
米の人気も高かった。スペイン人男性(35)は「スペインでは長粒種が中心で短粒種は珍しい。別物だがおいしい」と評価。過去に団体旅行で中国・上海から日本を訪れたリュ・シャさん(32)は米の中でも「コシヒカリ」と回答。「価格が高く、品質が高いから」と回答した。
観光庁によると、23年の訪日客数は、19年比で21%減の2507万人にまで回復。消費額は過去最高の5兆2923億円に達した。今年3月には、月当たりの訪日客数が300万人を突破し、過去最高を更新した。訪日客数の7割が日本の食を魅力に訪日している。
日本の食が盛り上げるインバウンドの最前線を紹介する。
識者に聞く
▼インバウンド関係のウェブメディアを運営するやまとごころの村山慶輔代表
最近は家族連れの訪日客が増えた。海外よりも治安が良く安全に旅ができることも人気の要因だ。円安で割安に旅行できることもあるが、日本は四季の変化も楽しめるため、世界で最も人気の観光地となっている。農畜産物では、イチゴや梨狩りなどの観光農園は訪日客にとって珍しく人気が高い。
インバウンドと輸出はつながっている。日本で卵かけご飯の味を知り、自分の店を開いたりして卵を輸入するケースもある。日本食レストランも増えている中、インバウンドに売れているものを細かく見て、輸出拡大の好循環につなげていくべきだ。
▼インバウンドの動向に詳しい旅の創造研究所の安田亘宏所長
今は間違いなく最大の商機だ。「神戸ビーフ」「青森リンゴ」のように地域ブランド名称を旅行前後や最中で発信してもらうことや、帰国後に越境電子商取引(EC)で取り寄せてもらうことが重要だ。
最大の課題は地方誘致。農村地帯に呼び込むのは「グリーン・ツーリズム」、農業体験ツアー、豊かな自然に恵まれた農村や文化を観光資源とし、地元住民らと交流しながら農作業などを体験するものが人気だ。