振動でトマト害虫防除 特許取得、製品化へ 授粉促進効果も 電気通信大など
装置は磁気を使って振動させる。施設上部のパイプに設置。このパイプからワイヤをぶら下げ、ワイヤにトマトを誘引する。振動はパイプからワイヤ、トマトの株に伝える。
同大と、森林総合研究所、宮城県、琉球大学、神奈川県、兵庫県との共同研究で、特許は21年12月に取得した。装置は同じ研究グループの東北特殊鋼(宮城県村田町)が製品化する。
昆虫は植物の振動を感じると外敵から逃れようとする習性を持つ。装置はこれを利用。試験では、周波数300ヘルツの細かい振動を1秒ずつ一定間隔で与えたところ、オンシツコナジラミの幼虫の密度を7割ほど減らした。黄化葉巻病を媒介するタバココナジラミの防除効果も確認した。
振動によって花粉が落ちやすくなり、授粉が促されることも分かった。試験では、トマトの株を大きく揺らす周波数30ヘルツの振動を1日2回・1回60秒与えたところ、振動を与えない場合やホルモン剤を与えた場合より着果数が多くなった。トマトの草丈や茎の太さへの影響はなかった。
害虫防除と着果促進の効果が最適になる振動の発生方法や回数、果樹のカメムシ類やカミキリムシ類、キノコのキノコバエ類などへの効果も研究している。同大学は「IPMの防除方法の一つとして取り入れられる」(情報理工学研究科)とし、粘着板や防虫ネットなど他の方法と組み合わせるとより有効とみる。