野菜は、気温低下で需要が高まる鍋物など煮炊き用の食材の高騰が目立つ。10月上旬の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、平年(過去5年平均)比85%高のシュンギクを筆頭に、ネギが49%高、ダイコンが41%高と続いた。
夏の高温や干ばつの影響で東北・北海道産の減少が早まり、後続の関東産も生育が停滞。産地リレーが途切れ、端境が発生している。上旬の7卸取引量はシュンギクが平年の半分、ダイコンが同3割減と品薄が顕著だ。
月初には平年価格を下回っていたハクサイも、11日には同37%高と急伸。後続産地のJA全農いばらきは「定植期が高温で生育不良が出やすく、出始めの10月は少ない」と話す。東京の青果卸は「各品目とも月内は高温の影響を引きずり入荷が不安定」とし、強含みの相場を見通す。
小売りは品ぞろえに苦心する。1本200円台で高止まりするダイコンは2分の1や3分の1のカット売りが増加。ハクサイは鍋つゆのもとと併売し、入荷が比較的安定するシメジなどキノコ類を充実させている。
果実も品薄高だ。主役のリンゴは、上旬が平年比35%高の1キロ405円。夏の高温で正品率が低下し、取引量は同27%減だった。主産地の青森県のJAは、「日焼け果の発生などでロスが多い」と話す。今後も量は平年を下回り、秋果実として需要は底堅く、「平年よりも高値が続く」(東京の青果卸)見通し。
栗も、暑さで傷みが出て上旬の取引量は同26%減った。スイーツ需要で加工業者の引き合いが強く、価格は同47%高。終盤の梨も上旬は取引量が同37%減、価格は同35%高だった。11日も各品目で高値を維持した。