府県や市町村が確認した文化財被害は19日現在、国指定259件、府県・市町村指定77件で、石川県ではさらに増える見通し。うち国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産の登録が2件、文化庁の日本遺産の認定は40件。被害範囲は北陸を中心に信越、東北、中部、近畿と広く、府県別では富山123件、石川111件、新潟93件、岐阜3件、福井2件、京都1件など。
同庁文化資源活用課によると、今回の被災地には国指定の重要文化財木造建造物が多く、「過去の地震と比べて被害件数の多さが際立つ」という。戦後最大の自然災害となった2011年3月の東日本大震災(1都15県754件)の半数に迫る他、16年4月の熊本地震(6県167件)、18年6月の大阪北部地震(2府86件)、18年9月の北海道胆振東部地震(1道12件)などを大きく上回った。
最多の富山県では、木造建築文化財の多い高岡市に被害が多発。加賀藩主・前田利常が建立した国宝で日本遺産の「瑞龍寺」や「菅野家住宅」、重要伝統的建造物群など日本遺産20件を含む29件で亀裂などの被害が生じた。内閣総辞職に発展した1918年の全国米騒動発祥地、魚津市の「米騒動米倉」も壁が損壊した。
石川県では輪島市の国重要文化財「上時国家住宅」や、地域の伝統行事の舞台にもなっている重要伝統建造物群「黒島地区」の築400年の建物が多数倒壊、史跡名勝天然記念物「白米の千枚田」に多数の亀裂を確認。能登町の重要文化財建造物の農家住宅「中谷家住宅」で主屋が傾くなどした他、白山市では樹齢680年の「御仏供杉」の主幹に亀裂が走った。
新潟市の日本遺産「旧齋藤氏別邸庭園」にもひび割れが発生。福井、福島、岐阜、愛知、三重、京都でも重要文化財建造物や史跡に被害が及んだ。