一昨年に急死した黒毛和種の種雄牛「福之姫」を親に持つ子牛の登録頭数が、歴代１位の２４万４６０８頭になったと家畜改良事業団が発表した。農家などが購入済みの精液が使われたことで、死亡後も１年間で登録頭数は４万頭以上増加。同事業団は、１本の精液で複数の受精卵を作る技術が発達してきたことも一因に挙げる。

　今年３月末現在で子牛の登録頭数が多い同事業団の種雄牛一覧を公開した。「福之姫」は昨年４月までの登録頭数は２０万頭余りと５位だったが、一気に増えた。上位には「北国７の８」「福栄」「美津照重」「安茂勝」「紋次郎」といった“名牛”とされた種雄牛が並ぶ。

　「福之姫」は産子の増体能力と枝肉成績の高さで、各地の子牛市場や枝肉共励会をけん引してきた。２３年６月に急死。「福之姫」産子で、親の特徴を受け継いだ種雄牛「福之鶴」「福勝鶴」も人気があり、子牛登録頭数は急速に増えている。

（古田島友則）