ウクライナ侵攻、花苗・天敵輸入に支障 欧州発航空便が混乱 到着遅れ、輸送費増も
欧州各国は、ロシアの航空機に自国領空の飛行を禁止する経済制裁を取る。ロシアは報復措置として、欧州の航空会社に自国領空の飛行を禁止。欧州から日本への航空便は、欠航や、ロシア上空を迂回する航路への変更など混乱が続く。
この影響を受けたのが、欧州からの輸入が多く、鮮度を維持するため航空便で運ぶ花の苗だ。国内の種苗会社によると、オランダやフランス、ドイツ、英国などに輸入先の種苗メーカーがある。南アフリカなど、アフリカから欧州経由で輸入するものもある。
ある種苗会社は、カーネーションの苗の到着が最大で3週間程度遅れる見込みだと明かす。別の種苗会社によると、ゼラニウムやベゴニアなどの花壇苗も到着が遅れ、欠航や遅延による保管中の徒長など「ベストな状態で届けられない事態もある」。航路変更で遠回りになるため、運賃が上昇し、今後の販売価格に影響が出る可能性もあるという。
各社は、販売代理店やJAなどを通じ、生産者に納期の遅れを説明している。輸入先変更や、代替案として作型が似た別品種の提案などもしているという。
施設園芸を中心に使われ、天敵生物で害虫を駆除する天敵農薬もオランダなど欧州での生産が多く、航空便で輸送する。ある国内供給メーカーは、代替航路の混雑で「一部の製品でスケジュール通りに届けられない状況」。別のメーカーは、遅れは出ていないが代替航路の確保に苦心していると明かす。輸送費が通常の4倍になるケースもあるという。
一方、野菜の種は、欧州の生産国から種を輸入するメーカーによると「現段階では影響は出ていない。苗と異なり、ある程度保管でき、在庫もある」。ただ、長期化すれば影響が出る可能性もあるとみて、状況を注視している。