同病は開花期に感染しやすい。注意報を発表した岐阜と愛知、三重、滋賀の4県では、4月中・下旬の開花期に降雨と気温が高い日が続き、同病に感染しやすい条件だった。茨城や栃木、群馬、静岡、兵庫なども4月中に防除情報を出し、注意を呼びかける。
防除適期は麦の種類ごとに異なり、小麦や六条大麦は開花始めから開花最盛期までに1回目の防除をする。二条大麦は穂ぞろい期の10日後が目安。県の発生予察情報などを参考に地域の適期や薬剤を確認し、防除する。
麦類が赤かび病に感染すると、出穂期から乳熟期の間に粒の付近が枯れたようになり、鮮やかなピンク色の胞子が発生する。減収や品質低下の原因となる。
滋賀県病害虫防除所は5月9、10日に県内30地点の圃場(ほじょう)を調査。県南部の発生が多い傾向があるとして、11日に防除情報を発表した。対策として、追加防除の検討を促す。岐阜県病害虫防除所は5月上旬の調査で、4月中・下旬に開花した小麦で発生が目立つと指摘した。
タマネギべと病注意 1カ月病害虫予報 農水省
農水省は11日、今後1カ月の病害虫発生予報を発表した。麦類の赤かび病の発生が北陸と東海で多くなり、野菜類ではタマネギのべと病の発生が北関東と近畿、四国で多くなると予想。果樹全般で、果樹カメムシ類の発生が北東北、東海、近畿で多くなるとして、注意を呼びかける。
麦類の赤かび病は、穂の一部または全部が褐変することが特徴。麦の種類に応じ、地域ごとの適期に合った防除を行う。
タマネギのべと病は、淡く黄色みがかった楕円(だえん)形の病斑が葉に発生する。り病株の抜き取りと薬剤防除を呼びかける。トマトはコナジラミ類が東海、灰色かび病が南関東と四国、葉かび病が北関東と北九州で発生が多いと予想。キュウリはべと病が北関東と四国、アザミウマ類が四国で多いとする。
果樹カメムシ類は、成虫が気温の上昇で山林などの越冬場所から移動する。飛来を確認した場合、初期から防除を実施する。桃のせん孔細菌病は北陸、四国で多くなると予想。前年の発生が多かった地域では、発病枝を確実に除去する。梨の黒星病は北陸、東海、近畿、かんきつのそうか病は東海で多くなると予想する。
水稲では、いもち病が南関東と北陸、四国、北九州でやや多く発生するとみる。イネミズゾウムシは南東北と東海、近畿、中国、四国、北九州でやや多く、縞葉枯(しまはがれ)病は北海道と東海、近畿でやや多いと予想する。
