海外流出防止へ保護機関 品種育成者権を管理 来年度にも 農水省検討会
同省は5月、弁護士や種苗会社、農研機構、JA全農などで構成する検討会を立ち上げ、これまで非公開で4回会合を開いてきた。年内をめどに最終取りまとめを予定する。
中間取りまとめでは現状と課題を整理。21年の種苗法改正で品種登録した品種(登録品種)の海外持ち出しが制限されたが、特に公的機関では管理体制や予算が限られ、品種の管理や違法事例の監視が不十分だと指摘。開発した種苗は普及を優先するため販売額を抑えており、育成者権の保護費用の確保や新品種開発への投資も困難な状況にあるとした。
その上で、立ち上げる機関は品種開発や輸出促進、国内農業の振興などに携わる複数の民間が参画した中立的な組織の必要性があると提起。他国の生産者からの許諾料収入を運営の原資とし、一部を育成者にも還元することで、育成者の品種開発への投資を促進する必要があるとした。
イチゴやサツマイモといった海外での無断栽培のリスクが高い品目について、侵害例の多い国での品種登録の出願を支援・代行する必要性も指摘。海外での侵害監視の実効性を高めるため、海外の同様の管理機関との連携も求めた。
今後も検討会では、フランスの専門機関などを参考に検討を進める。同省は23年度予算概算要求で、機関立ち上げに必要な事業も盛り込む方針だ。