トマト売り出すぞ 福井農林高 目標70万円、15日まで
【ふくい】自分たちの手でブランドトマトを作りたい──。福井県立福井農林高校(福井市)のトマト研究グループは、大玉トマトの独自ブランド開発を目指し、CFで資金を募っている。専門家から指導を受ける費用や酸度計などの機材費、宣伝費に充てるため、目標金額を70万円と設定。期限は15日まで。
アイメック農法を生かした高糖度ミニトマトを栽培する同校は、「の~りんのあま姫」のブランド名で販売。昨年からポット栽培による大玉生産にも着手した。収量や品質を安定させ、ノウハウを蓄積するには、より専門的な知識を持つ人の指導や機材が必要と判断。来春、北陸新幹線が福井県に延伸することを見据え、全国からの来県者にPRしたいとも考え、CFで資金を集めることにした。
グループリーダーの木下健太さん(17)は「ブランドづくりに携わるのは貴重な経験。全国へおいしいトマトを届けたい」と思い描く。メンバーの八百山優さん(16)も「品質や糖度を均一化させて、責任を持っていいトマトを作りたい」と意気込む。
リターン品には米や「の~りんのあま姫」を用意。同校のホームページからCFサイト「ForGood」で支援できる。
台風の被害、動画で訴え 鳥取・八頭町の農場に支援200万円
穂を付けた稲がひしめく水田。途中で崩れて土があらわになっている。その前で農家が静かに語り出す。
「今回のような大規模崩落は初めて」「復旧費用の農家負担分を支援していただけないでしょうか」
CFのため鳥取県八頭町で水稲などを栽培する田中農場が自ら撮影した動画の一場面だ。7月の台風で崩落した田や用水路の復旧費をCFで募り、200万円の目標を達成。水田が崩れるという非常事態を克明に伝えるため、ドローンを活用し、被害現場全体を空中からも撮影した。
「自費で簡易工事」など200万円の用途も示し、SNSでもCFを周知。米作りへのこだわりと被害現場の実態を伝え、11月中旬までの1カ月間で202人から支援を得た。
動画に出演した農場代表の田中里志さん(45)は「従来の取引先だけでなく、見ず知らずの人も参加してくれた」と支援の広がりに感謝する。リターン品には米のセットの他、「台風にも負けず落ちなかった」縁起物として米を入れた合格祈願のお守りも用意した。
支援金は農地の仮復旧や国の災害復旧事業の受益者負担分などに充てる。「農家の持ち出し分の負担は大きい。CFが支えになった」と実感する。
![田中さんが制作した動画の一場面。崩落した水田の前に立ち、支援を呼びかけた](/media/2023/12/06/l/20231206_mjyj7qn5ewinblpghbif.jpg)
「自身の言葉で」SNSも駆使
CFサイト運営会社によると農業関連は規格外品を使った商品開発、災害を受けて傷んだ農作物の販路確保などを目的に、個人農家の活用が多いという。
CAMPFIRE(東京都渋谷区)は年間1000件超の農業関連のプロジェクトを扱い目標達成は5割程度。ただ、利用者の9割は目標額に達しない場合も支援金を受け取れる方式を活用する。
支援者確保へ同社はSNSなどを通じた発信を推奨。「CFを機に広報やマーケティングを意識し始める傾向がある」と説明する。
READYFOR(東京都千代田区)は、農畜産物を含む「フード」関連のプロジェクト数が年間150件に上る。2022年の目標達成率は97%で、他分野と比べて高い水準だという。
同社全体の傾向として、目標額を超えた場合に資金を受け取れる方式の利用が多い。目標達成に向けたポイントとして、同社もSNSなどを通じた広報を挙げる。「自身の思いを自身の言葉で発信することが重要」と指摘する。
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