情報発信・共有で一層発展
日本農業新聞は9日、東京都内で開いた2024年度全国大会で、情報発信と記事活用を通じて農業とJAの発展につなげることなどを申し合わせた。全国から約500人のJA代表者らが出席、岸田文雄首相が祝辞を述べた。大会では、本紙の普及・活用や教育広報活動で優秀な成績を上げたJAなどを表彰した。元外務事務次官で大阪大学特任教授の薮中三十二氏が記念講演した。日本農業新聞の港義弘会長は「持続可能な食と農への国民的理解の醸成、生産基盤の強化、農業者の経営安定に貢献していく」と強調した。
JA全中の山野徹会長は「農政推進にはJAグループ役職員や組合員、国民からの理解、協力が不可欠だ」と指摘。情報発信の強化に期待を示した。
農水省の武村展英副大臣は「全国各地の事例の積極的な情報発信を期待している」と述べた。
表彰では、本紙の普及・活用で、千葉県・JAいちかわが日本農業新聞大賞に輝いた。優績通信員表彰は、年間最優秀記事の部で長野県・JAあづみの長崎祐貴さんを選んだ。第20回一村逸品大賞の大賞は岩泉ホールディングス(岩手県岩泉町)の「畑わさベーゼ」が受賞。第49回読者の写真コンテストでは、課題写真の部で岩手県奥州市の達下才子さんの「脱穀日和」が農水大臣賞に選ばれた。(▶受賞者一覧はこちら)
わが国の食料安全保障を抜本的に強化するため、今国会に食料・農業・農村基本法改正案を提出している。農政を再構築し、担い手の育成・確保、農産物輸出、スマート技術導入、生産現場の努力が報われる価格転嫁の仕組み作りを体系的に進めていく。
食料・農業・農村を取り巻く社会課題に正面から向き合い、官民連携の下に解決し、地域の成長、農業所得の向上につなげていく。
日本農業新聞には、引き続き農政の推進状況を含め、的確な情報の発信で、農業関係者、国民の食料・農業・農村に関する理解醸成に貢献することを心から期待する。
自民党の江藤拓総合農林政策調査会長は、農政の情報や歴史に関し、「極めて詳細に分析できるのが日本農業新聞」とし、情報発信に期待を込めた。
公明党の山口那津男代表は「農業や情報伝達にAI(人工知能)をどう生かすかという視点で、発展してもらいたい」と述べた。
立憲民主党の泉健太代表もAI活用に触れ、「新しい分野でも農業者の役に立てることを期待している」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表は「農家にとって必要な情報を的確に出すのは天下一品」と評価した。
会場には自民の石破茂元幹事長や野村哲郎、宮下一郎両元農相、小野寺五典元防衛相、山田俊男、藤木眞也両参院議員、公明の稲津久農林水産業活性化調査会長、立民の大串博志選挙対策委員長、共産党の紙智子農林・漁民局長、社民党の福島瑞穂党首らも訪れた。
今野博之 組合長(JAいちかわ)
情報発信に向け、日本農業新聞を病院や理髪店などにも普及した。電子版への切り替えも推進しており、引き続き、購読者数を増やしていきたい。
将来を見据え、人工知能(AI)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入を進めている。AIを活用し、JA組合長のイラストが動く日本農業新聞のサービス「AI組合長」も活用している。AI、DXを役職員一丸となって推進していきたい。
長崎祐貴 通信員(JAあづみ)
調査の結果、10年後に11・5ヘクタールのリンゴ園地が遊休地になる恐れがあることが分かった。これを踏まえて、産地維持へ実効性のあるビジョンを作り、実践に向けた話し合いを進めている。
農業を取り巻く課題は山積みだ。通信員にできることは価値ある情報を地域、そして全国に届けること。それが、地域農業の振興や生産者の所得増大につながれば、これ以上にうれしいことはない。
ウクライナや中東などで紛争が起きる中、東アジアの情勢は日本にとって一番の関心事。急に大国となった中国の国際秩序を無視した態度は問題だ。中国国内の経済が立ち行かなくなった時、攻撃的な外交を仕掛けてくる心配がある。よく見ておくべきだ。
ウクライナ紛争は、米国とロシアの間での外交不在が一因となった。日本は、外交で戦争を避ける重要性を再考する必要がある。
東アジアの平和維持に向けて、ルールを守るという平和攻勢で中国と本気で向き合い、日本は堂々と主張し、建設的で安定的な関係を築くべきだ。同時に日米同盟を強化し、アピールすることも必要だ。
日本は防衛予算を国内総生産(GDP)比2%に引き上げる。何をどのくらい持ったら安全が確保できるか、もう一度吟味する必要がある。日本の安全保障に直結するのは少子化問題だ。誰が国を守るのかと考えた時、非常に重大な問題だといえる。 第20回日本農業新聞広告賞の表彰式では、グランプリに輝いた地方競馬全国協会と、準グランプリのヤンマーアグリ、優秀賞を受賞した10企業・団体を表彰した。
地方競馬全国協会「The Livestock TIMES」シリーズは、牛たちのぬくもりを捉えた写真表現や、海外のタブロイド紙のようにレイアウトした企画性が高く評価された。同協会の吉田誠副理事長は「畜産の生産現場と競馬のファンをつなぐ情報発信に力を入れていきたい」と述べた。ヤンマーアグリの鈴木清商品企画部長は「持続可能な農業を目指し取り組んでいく」と語った。
▽第49回読者の写真コンテスト・課題写真の部=達下才子(岩手県奥州市)「脱穀日和」
▷もっと詳しく
[特集]第49回読者の写真コンテスト受賞作
▽JAいちかわ(千葉)
■日本農業新聞準大賞
▽JAきたそらち(北海道)、JA福山市(広島)
■JA全中会長賞
▽普及率全国最高JA=JAめまんべつ(北海道)
▽保有部数全国最高JA=JAたじま(兵庫)
▽年間増部数全国最高JA=JAこうか(滋賀)
■日本農業新聞会長賞
▽長期普及優績JA=JA新はこだて(北海道)、JAひがしかわ(同)、JAこしみず(同)、JA新得町(同)、JA標津(同)、JA中標津(同)、JA大阪北部(大阪)
▽普及拡大優績JA=JA秋田ふるさと(秋田)、JA夢みなみ(福島)、JAはが野(栃木)、JA前橋市(群馬)、JA甘楽富岡(同)、JAさいたま(埼玉)、JA山口県(山口)、JAみい(福岡)、JAみなみ筑後(同)、JAふくおか嘉穂(同)
▽都道府県JAグループ表彰=JA北海道中央会
▽諸事業普及優績感謝状=JA北海道中央会、JA新潟中央会、JA福岡中央会
■優績通信員表彰
▽年間最優秀記事の部=長崎祐貴(長野・JAあづみ)
▽年間最優秀写真の部=荒井文弘(山梨・JAフルーツ山梨)
▽優績通信員=高橋虎之介(北海道・JAいわみざわ)、谷坂咲子(青森・JA十和田おいらせ)、宮城卓也(群馬・JA邑楽館林)、坂井真彩(新潟・JA新潟かがやき)、蜂矢守弘(岐阜・JAぎふ)、田中萌子(兵庫・JA兵庫西)、行政邦彦(広島・JAひろしま)、土井哲(徳島・JA徳島県)、山田佳名子(福岡・JAくるめ)
■第20回一村逸品大賞
▽大賞=「畑わさベーゼ」(岩手・岩泉ホールディングス)
▽金賞=「おてつめカフェオレあん最中」(北海道・コウシ茶寮)、「黄金の雫 梨ロールケーキ」(埼玉・JAさいたま)
▽審査員特別賞=「みるふちゃん(北海道・みるふちゃん工房)
▷もっと詳しく
[特集]第20回「一村逸品大賞」
▽第49回読者の写真コンテスト・ニュース写真の部=川末義晃(岡山県赤磐市)「環水平アークに見守られ」
■記事活用エピソード(最優秀賞)
▽一般の部=上野拓海(高知市)
▽学生・生徒の部=下家和佳奈(鳥取市)
■日本農業新聞愛読者感謝状
▽梶澤美佐江(北海道芽室町)、五日市達洋(岩手県二戸市)、岡本文子(千葉県長生村)、辰巳洋子(奈良市)、中野篤司(長崎県佐世保市)
■第20回日本農業新聞広告賞
▽グランプリ=地方競馬全国協会「地方競馬全国協会 畜産振興全国広報『The Livestock TIMES』シリーズ」
▽準グランプリ=ヤンマーアグリ「農業を、食農産業へ。」
▽大型スペース広告部門優秀賞=タキイ種苗「F1トルコギキョウ プリマシリーズ 白の品格」、トキタ種苗「とろける唐揚げに夢中! 新たな食体験“とろ~り旨なす”夏に強い枝豆“夏枝”」
▽記事下広告部門優秀賞=霧島酒造「わたしたちが、作りました。」、科研製薬「『ひざ痛』を感じたらお医者さんへ。」
▽バリエーション広告部門優秀賞=BASFジャパン「バスタポイントキャンペーン」、クボタ「GROUNDBREAKERS」
▽記事体広告部門優秀賞=サンアグロ「暑さに負けない米作りには、らくらく施肥!」、日本中央競馬会「JRA畜産振興事業 国産チーズ・イノベーション事業」
▽ウェブ広告部門優秀賞=ロブストス「アジャスタブルスプレーヤ」、佐川急便「え!そんなモノも運べるの?」
(敬称略)