JAは、2014年に県北地区の5JAが合併し、11市町村を管轄する広域JAとして誕生。現在、約5万2000人の組合員を有する。昨年度には、自己改革3カ年計画の着実な実行もあり、農産物販売高が初の100億円を達成した。
販売が好調な一方で、地域農業者の高齢化や担い手不足の問題を抱えている。組合員へのアンケートでは、JAに期待する事項として「地域農業の振興」を挙げる意見が多かった。秋山豊組合長は「これからは経営基盤の安定化から、JA本来の目的である産地づくりの段階に入った」と話す。
JAでは、管内の常陸大宮市で「みどりの食料システム戦略」に基づく環境負荷低減や、持続可能な農業生産の実現に向け、3年前から同市と連携し有機栽培の導入と普及に取り組んできた。子会社の(株)JA常陸アグリサポートが主体となり、サツマイモをはじめジャガイモ、ニンジン、タマネギなど約20品目を生産する。地域の農家と有機米栽培も手がけており、有機ブランド米「ゆうき凛々(りんりん)」は、野菜と共に学校給食への提供を実現している。

2月からは、新たに「地域貢献部」を創設した。同部は、農家の有機栽培に対する理解促進を大きな目標として掲げている。有機サツマイモや有機水稲の栽培技術実演のため、管内のひたちなか市内と那珂市内にモデル圃場(ほじょう)を設置した。
その他、有機栽培のサツマイモをはじめ、栗の生産拡大の障壁となっている収穫作業の合理化に向けた自動収穫機の独自開発や、高地での花ハスの試験栽培など、取り組みは多岐にわたる。
秋山組合長は「地域からJAに対する農業生産や生産者の高齢化対策への期待度は高く、活性化に向けた対応が急務となる。実現には多くの方の協力が必要不可欠で長期戦になるが、諦めずに挑戦していく」と意気込む。