「イネカメムシを見たのは初めて。数が多く、鳥肌が立った」。男性はそう振り返る。
複数品種を栽培する1・4ヘクタールのうち、最も出穂が早い「ミルキークイーン」で集中的に発生していたという。
出穂期はおおむね7月下旬ごろを見込む。「既にこれだけ出ている。出穂期はどうなってしまうのか」と不安を拭えずにいる。
樋口氏は「イネカメムシだ」とした上で「出穂前に飛来することはある。だが、こんなに多数発生しているのは見たことがない」と異例の状態だと指摘。「成虫前の姿も見られる。ここで羽化した可能性がある」とみる。
農研機構にも写真を提供したところ、「イネカメムシで間違いない」との返答が来た。同害虫を含むカメムシ類は出穂前であっても、まとまった数が確認されたら、「出穂直後から被害を受ける恐れがあるため出穂期前でも防除が必要」(病害虫防除支援技術グループ)とする。
同害虫は穂を吸汁して不稔(ふねん)や斑点米をもたらす。出穂前にもかかわらず飛来してきた背景として、同機構で同害虫の研究に携わる石島力上級研究員は「出穂を迎える稲から出る物質に誘引されている可能性がある」と推察。稲が発する香ばしい匂いのもととなる物質との関係を疑う。
<ことば>イネカメムシ 1970年代後半以降、ほとんど確認されていなかったが、2020年ごろから関東以西で発生と被害が見られるようになった。成虫は茶褐色で体長12、13ミリの大型の斑点米カメムシ類。成虫で越冬する。