■稲作経営――「所得補償」要望多く
アンケートで支持を集めた「農家への所得補償」は、石破茂首相が前向きな姿勢を見せる。ただ、自民党内には慎重な意見もある。石破内閣の農政の責任者である小泉農相に、所得補償の実現を要望する声は多く、新潟県の40代男性・兼業農家は「生産者と消費者の間で米の希望価格に、乖離(かいり)がある。その差を所得補償で補ってほしい」と要望。「そのためには予算増額も必要」と訴える。
一方で、石破首相は全ての農家への所得補償は否定している。兵庫県の70代女性・専業農家は「私たちが住む中山間地域は、農地の集約化も担い手確保も難しい」と訴え、小泉農相に力を入れてほしい政策の一つに「所得補償」を挙げた。
所得補償と並んで、多くの人が挙げた「生産者と消費者双方が納得できる米の価格形成」。小泉農相が進める備蓄米の「(5キロ)2000円台」が一般流通米の価格のベースになるのではないかと懸念する声は多い。
栃木県の20代女性・水稲農家は「その価格(同2000円台)に下がると、今まで以上に経営が厳しくなる。廃業も考えざるを得ない」と打ち明ける。「資材費や機械代、燃料代など全てが上がっている」として、今後の米価の在り方は「稲作農家の立場になって考えて」と求める。
■消費者理解――発信力に期待
国民各層の知名度が高く、交流サイト(SNS)でも積極的に発信する小泉農相。農業への国民理解に期待を寄せる声が複数届いた。新潟県の40代男性・水稲農家は「農家のコストが(販売価格に)合っていないことを消費者にも理解してほしい」と願う。
埼玉県の40代男性・専業農家は「都市の消費者や若い世代への啓発を通じ、農業の価値を社会全体で支える土壌づくりが求められている」と指摘。「小泉農相の実行力に期待している」と話す。
■農政課題――米以外にも課題山積
「“米担当大臣”だという思いだ」と述べて就任した小泉農相。今後は農政の責任者として米関連以外でも、さまざまな課題と向き合うことになる。長崎県の60代男性・畜産農家は「利益が出ず借り入れして経営しているから、後継が出てこない」と打ち明ける。小泉農相に力を入れてほしい政策に「担い手の確保・育成」「生産資材や飼料などの高騰対策」などを挙げた。
小泉農相は自民党農林部会長時代、農協改革などに強い意欲を示した。アンケートでは、宮城県の40代女性・水稲農家が「JAがなくなったら農家は大変」、福岡県の40代女性・JA職員が「JAの働きを知って」と話すなど、JAの役割に理解を求める声が複数届いた。