タレントの榊原郁恵さんが、2009年から神奈川県厚木市で続けてきた「いくえ農園」を今春“卒業”する。「ちょっとでも食料自給率を上げたい」との一心で飛び込んだ農業の世界。13年たった今、販売できるほど腕が上がった。だが仲間の高齢化が進み「ここが潮時かな」と判断した。愛着ある農園はハウスを残して整地し、次の人に引き継ぐ。
郁恵さんが農業に挑戦したきっかけは「食料自給率が低迷する中、自分たちで自給できるようにしなくちゃ」と考えたこと。09年にJAあつぎの農業塾に入り、野菜作りを学んだ。収穫した大豆で豆腐作りや、稲わらを使った本格的な納豆作りにも挑戦。台風や鳥獣害、異常気象など農業の厳しさも味わった。修了後はJAから農地10アールを借りて、仲間4人と続けてきた。
同JAの萩原佐敏常務は「地域農業の振興に向けた尽力に感謝している。今後もさまざまな場面で食と農の大切さを発信してほしい」と期待を込めた。