8月の「サラダ支出額」過去最多に 生鮮野菜高騰響く
サラダの年間支出額は年々増加。昨年は5895円と、5年で27%増えた。気温が高い8、9月は年間でもサラダ消費が多い月で、記録的な暑さだった今年はさらに急伸した。
厳しい暑さで野菜の品薄高が進んだことも、サラダ支出が伸びた一因に挙がる。農水省が公表する小売店の価格調査によると、8月はトマトやキュウリが全週で平年を上回り、2、3割高の週もあった。9月は、それまで値頃だった結球類も上昇。ニンジンは平年比4割高をつけた。
首都圏にスーパーを展開するいなげやは、全店舗のカットサラダ売上高が、8月は前年比5・5%増。9月は同10・7%増と伸びが顕著だった。両月とも商品単価は同1・4%高と上昇は小幅。「野菜の価格が上がる中、変動が少ないサラダが売れた」とみる。
カット野菜製造大手のサラダクラブも、パッケージサラダの出荷量が8月は前年と同水準だったものの、9月は同1割近く伸びた。「価格の安定性はパッケージサラダの特色の一つ。相場高騰と連動し売り上げが伸びた可能性はある」と話す。簡便化志向で消費を伸ばすサラダ。天候不順で価格変動のリスクが高まっている夏場は一層、存在感を高めそうだ。
野菜価格は卸、小売りで差拡大 高値反映、ためらいも
異例の暑さだった夏の影響を引きずり、10月は野菜の価格が週を追うごとに上昇している。ただ、急騰する卸売価格に、小売価格が追い付かず、トマトなど市場と店頭で価格差が広がる品目もある。物価高で消費が冷え込む中、小売りは売れ行きへの影響を懸念しながら、価格の居所を探る。
高騰が顕著なのがトマトで、店頭では1玉200円台が定番化。全国470店舗を対象とした農水省の小売価格調査によると、9月後半には5年ぶりに1キロ1000円台を記録した。その後も高止まりし、10月16日の週(16~18日)は1259円と平年(過去5年平均)比38%高をつけた。
小売価格も高いが、卸値はそれを上回るペースで高騰。卸売価格の指標となる各地区大手7卸のデータを集計した日農平均価格は前週、週別では過去10年で最も高い1キロ965円を記録した。高値疲れが出ているが24日も平年比92%高の804円で、小売価格の平年比とは差が大きい。
首都圏のスーパーは「短期間の相場高騰に店頭価格が追い付かない」と、両価格のギャップを説明。10月は増量を見越し小売りが注文を増やしたが、「実際は入荷が伸びず相場がつり上がった」(東京の青果卸)。物価高で消費者の財布のひもは固く、売価を上げすぎると消費が鈍るため、小売りは上げ幅を抑え、売り場を縮小して対応している。
両価格の平年比のギャップは、品目間でまちまちだ。ニンジンは16日の週は小売価格が同43%高だったが、同じ週の日農平均価格(同71%高)と比べると上げ幅は小さい。
一方、ネギは9月まで売り場が広がらず、卸値と比べて小売価格の上昇は抑えられていた。10月に入ると気温低下で鍋用などの需要が増え、店頭価格も続伸。16日の週は1キロ1219円と同48%高まで上げ、日農平均価格(前週・同54%高)との平年比のギャップは小幅となっている。