【静岡】静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センターは、属が異なるマーガレットとローダンセマムを交配し、属間雑種のマーガレットを世界で初めて育成した。既存のマーガレットにはない赤紫色と、鮮やかな赤が特徴の2品種。コンパクトな草姿で、耐寒性があるローダンセマムの特徴を受け継ぎ、暖地なら無加温ハウスで栽培できる省エネ型で、1~6月に咲く。現在は出願公表中。 マーガレットもローダンセマムも同じキク科だが、アルギランセマム属のマーガレットは、ローダンセマム属とは自然交配では種ができない。同センターは、試験管の中で胚珠を発芽させる胚珠培養という技術を用いて、世界で初めて属間雑種のマーガレット「ビジューマム ローズクオーツ」と「ビジューマムガーネット」の2品種を育成した。
赤紫花のマーガレット属間雑種「ビジューマム ローズクオーツ」(静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センター提供)
マーガレットは鉢物用として人気の品目だが、ピンクや白、黄色の花が多い。ローダンセマムは、コンパクトな草姿で耐寒性があるのが特徴。
赤花のマーガレット属間雑種「ビジューマムガーネット」(静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センター提供)
「ビジューマム ローズクオーツ」は、わい性で花が大きくピンク色のマーガレットの系統に、わい性で桃色のローダンセマムの系統を交配し選抜した。花は赤紫で半八重咲き、中輪タイプだ。
「ビジューマムガーネット」は、わい性で赤花のマーガレット系統に、ピンクのローダンセマム「エルフピンク」を交配した。赤花で一重咲き、小・中輪タイプだ。
同センターは、マーガレットは通常7度に加温して栽培する農家が多いとされる中、無加温ハウスでローダンセマムを栽培する農家の所で試験した。その結果、いずれの品種も0~2度でも栽培できたという。燃油価格が高騰する中、無加温で栽培できる省エネ型のマーガレットだ。
現地試験を行ったマーガレットの生産者は、耐寒性がある点やコンパクトな草姿、2品種でセット販売できる点などを評価した。