最新ニュース
介護報酬改定 ほぼ全て引き上げ 訪問系で認知症対応拡充
厚生労働省は18日、2021年度の介護報酬改定に向け、各サービスの増減内容を明らかにした。ほぼ全てのサービスの基本報酬を引き上げた。訪問サービスの認知症やみとり対応を拡充。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるように支援する体制「地域包括ケアシステム」を推進する。
同省が同日開いた社会保障審議会介護給付費分科会で改定案を示した。……
首相、輸出拡大に意欲 初の施政方針 産地支援を強調 通常国会召集
第204通常国会が18日、召集された。就任後初の施政方針演説に臨んだ菅義偉首相は、農業政策の柱に農林水産物・食品の輸出を改めて提起し、「27の重点品目を選定し、国別に目標金額を定めて、産地を支援する」と強調。2030年に輸出額を5兆円とする政府目標に向けた実行戦略の着実な推進に意欲を示した。……

日本酒・焼酎 無形文化遺産めざす 輸出や消費拡大期待 施政方針で首相 登録は24年以降
菅義偉首相が18日の施政方針演説で、日本酒や焼酎について国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指すと表明した。新型コロナウイルス禍で酒類や原料の酒造好適米などの需要が落ち込む中、登録されれば輸出や国内消費の拡大が期待される。政府は申請に向けた準備を既に進めているが、登録は早くても2024年以降となる見通しだ。
無形文化遺産は、地域の歴史や風習などと深く結び付いた芸能や工芸技術などの形のない文化を保護し、重要性への意識を高めることを目的とする。……
日本では歌舞伎や能楽などが登録されている他、13年には「和食」が日本人の伝統的な食文化として登録され、日本食や日本産食材の人気にもつながったとされる。
政府は日本酒や焼酎について、こうじを使った伝統的な醸造技術として申請する方向で検討。技術の保護措置なども検討し、22年2月にも申請したい考えだ。ただ、ユネスコは同遺産の登録が無い国の審査を優先している。登録件数が多い日本の申請は、実質2年に1回の頻度で審査しており、登録は早くても24年になる。
政府は、日本酒や焼酎を輸出の有望品目とみており、昨年策定した農林水産物・食品の輸出拡大に向けた実行戦略で、どちらも「重点品目」に設定している。同戦略でも、無形文化遺産への登録に向けた検討を加速すると明記していた。輸出量が増えれば、原料の酒造好適米などの需要拡大にもつながる。
19年の輸出額は、日本酒が234億円、焼酎が16億円。同戦略では25年の目標額をそれぞれ600億円と40億円に設定した。政府は同遺産の登録を通じて「現場のモチベーションを高めると同時に、日本酒と焼酎の海外での認知度が向上し、国内の需要創出や輸出拡大につながってほしい」(国税庁)と期待する。
日本農業新聞の購読はこちら>>

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(上) コロナで体感「農業っていい」 多業種から入校生 日本農業実践学園
0度近くまで冷え込んだ晩秋、丘陵地のビニールハウスの中は春のような暖かさで、イチゴの白い花の周りには蜜蜂の羽音が響いていた。「蜂が近くに来ても払わないで。攻撃されるかもしれないから」。水戸市の郊外、新規就農者の専門学校「日本農業実践学園」の研修施設。2カ月前に入校し、1年後にイチゴ農家として独立を目指す小林克彰さん(39)が、実習作業の手伝いに来た妻の瞳さん(37)に語り掛けた。
克彰さんは、芸能人のホームページやコンサート情報を制作していた自営のウェブデザイナーだった。会社員だった30歳の頃、副業として会社が認めていた個人受注が増え、独立を決意した。2年前に工業デザイナーの瞳さんと結婚し、埼玉県三郷市に居を構えた。克彰さんが自宅で仕事、瞳さんが会社勤め、2人の生活は順風だった。
農福連携の米作り ドローン着目 直播で省力、障害者の作業に幅 群馬県沼田市
群馬県沼田市で農福連携を進める稲姫ファームと、障害者の就労支援や生活訓練などに取り組む多機能型事業所coco―kara(ココカラ)が、ドローン(小型無人飛行機)を使った米作りを試験的に始める。1ヘクタールほどの水田で「コシヒカリ」の鉄コーティング種子を直播(ちょくは)する他、除草剤の散布などに使う予定だ。……

農業の特定技能「派遣」 広がる 短期雇用も柔軟 手続き負担減
外国人の新在留資格「特定技能」の農業分野で認められた「派遣」が広がっている。農家は直接雇用に比べ事務手続きなどの負担が少なく、雇用期間を柔軟に調整できる。農繁期が異なる北海道と沖縄など地域間で連携した受け入れも進む。派遣に参入する事業者も増え、専門家は「これまで外国人を入れてこなかった家族経営でも受け入れが広がる」と指摘する。(望月悠希)
外国人材 大きな力
畑作が盛んな北海道浦幌町の選果施設。次々とコンベヤーで流れてくるジャガイモを段ボール箱に手際よく詰めるのは、カンボジア人のレム・チャントーンさん(26)だ。「将来は帰国してビジネスを立ち上げたい。分からないことも周りに聞くと、よく説明してくれる」と笑顔で話す。
チャントーンさんらは特定技能の資格を得た外国人。道内各地で農業生産・販売の他、作業受託をする「北海道グリーンパートナー」が、人材派遣会社の「YUIME(ゆいめ)」から受け入れた。
8~10月の農繁期には150人もの人手が必要な北海道グリーンパートナーは、YUIMEからの提案で、技能実習生だった特定技能の派遣を2019年に11人、20年に23人受け入れた。
YUIMEの派遣は、夏は北海道、冬は本州や沖縄で働くのが基本だ。ジャガイモの選果など冬場でも仕事がある場合は、道内で通年で働くこともある。
直接雇用では通年で仕事を用意しないと外国人の受け入れは難しいが、派遣なら必要な時期を決めて契約を結べる。北海道グリーンパートナー代表の高田清俊さん(59)は「外国人にとっても、さまざまな農家で働くことで、より豊かな経験を積むことができる」と評価する。
受け入れ側は面接や入国手続きなど事務負担が少ないのもメリットだ。北海道グリーンパートナーに組合員の農作業を委託するJAうらほろの林常行組合長は「人手不足を解消し、付加価値の高い販売に力を入れたい」と期待する。
各地で参入の動き
一定の技能を持ち、即戦力としての労働が認められている特定技能の仕組みは、19年に始まった。農業分野では、農業者が雇用契約を結び直接雇用する方法と、雇用契約を結んだ派遣業者が受け入れ機関となり農家に派遣する方法の、2種類がある。派遣では、繁忙期の違う地域に季節ごとに人材を送り出せる。
農業分野の特定技能は、制度発足から1年半の20年9月末時点で1306人。農業分野の受け入れ事業者が加入する「農業特定技能協議会」のうち、10社ほどが派遣事業者だ。
YUIMEは、農業分野の技能実習生だった外国人を採用。給料や待遇は日本人と同等の扱いで、現場のリーダーになる人材を育てている。住まいは、受け入れ農家に住宅の敷地内にある持ち家などを用意してもらい、YUIMEが借り入れる。
北海道以外でも派遣は進む。アルプス技研は、2019年4月から特定技能の派遣事業に参入。現在は子会社の「アグリ&ケア」が9道県に49人を派遣する。
JA北海道中央会も、特定技能のあっせん・派遣をする新組織の立ち上げを目指す。北海道稚内市の酪農家・石垣一郎さん(39)が経営する「アグリリクルート」は、21年から派遣事業に乗り出す。
家族経営も 活用しやすい 北海学園大学の宮入隆教授の話
入国手続きや労務管理の一部を派遣事業者に任せられるため、家族経営が外国人を受け入れるハードルが下がった。季節雇用、通年雇用問わず、広がっていくことは間違いない。一方で事業者は、各地に移動する特定技能の外国人の心理的な負担を考慮すべきだ。
日本農業新聞の購読はこちら>>

ピーマン平年並みに ジャガイモは物流回復
ピーマンの相場が反発している。日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、平年の3割安だった年末から、平年並みにまで回復。前進出荷の反動と直近の寒さで、入荷が不安定となっている。一方、品薄高だったジャガイモは大雪で停滞していた物流が復旧し、相場は落ち着く見通しだ。
ピーマンは、年内の前進出荷が顕著だった。12月の大手7卸販売量は1364トンと、平年(過去5年平均)比13%増。中旬に限れば同30%増だった。潤沢な出回りを受け、年末は平年の3割安に低迷していた。
年が明け、相場は急上昇した。1月中旬(18日まで)の日農平均価格は1キロ531円と、同7%安。先週末には平年並みにまで戻した。卸売会社は「年内は相場が安いまま終了した。値頃感があり年明けから引き合いがある中、出回りが減って反発した」とみる。
JA宮崎経済連は「着果負担による花落ちがあり、出荷ペースは減る。ただ、天候は良好で実付きは十分。2月にかけて回復する」と話す。JA高知県も「この時期は元々出荷が減るが、例年よりも1割ほど少ない」という。卸売会社は「短期間で上がりすぎ、小売りの注文控えもみられる。ただ、西南暖地産の出回りが回復する1月末までは、強含みで推移する」と見通す。
ジャガイモは、寒波による大雪で鉄道の運行が止まっていた北海道で、15日以降運行が再開し、入荷が回復してきた。東京都中央卸売市場9市場では、18日の入荷量は635トンと、同じく休市明けの12日から30%増。中旬の日農平均価格は177円と平年比59%高だが、18日は下げに転じた。卸売会社は「凍害も見られず、品質は良好。関西以西の市場はまだ不足感が強いが、高値反動も相まって徐々に相場は落ち着く」とみる。
日本農業新聞の購読はこちら>>
生産国の穀類輸出制限 食料貿易 波乱の兆し 特別編集委員 山田優
新型コロナウイルス禍で「お正月はおとそ気分」とはなかなかならなかったが、食料貿易の現場も今年は緊張感の漂う年末年始だった。
きっかけはロシア。12月半ばに政府が突然「国内のパン価格を安定させるため輸出量を制限し、小麦、ライ麦、大麦、トウモロコシに輸出税を課す」と発表した。官報によると、2月15日から6月いっぱい、小麦の輸出に1トン当たり25ユーロ(1ユーロ約125円)徴収することになった。
さらに先週金曜日になると、同50ユーロと倍額への引き上げが決まった。「25ユーロでは効果が小さいとロシア政府が判断したようだ」と穀物業界関係者は解説する。ここ数年、ロシアは毎年3000万トン以上を輸出する、ぶっちぎりで世界一の小麦輸出国だ。当然、世界に激震が走った。
今回の輸出規制は、昨年11月ごろから通貨のルーブル安が進み、国内のインフレ圧力が高まったことが理由とされる。食べ物の恨みは政治不安につながる。プーチン大統領が「食料の輸出を減らし国内に回せ」と首相に指示した。
トウモロコシや大豆でも波乱が起きた。アルゼンチン政府は年末ぎりぎりにトウモロコシの輸出制限を決めた。やはり国内消費者を優先させたいというのが理由とされる。こちらも3000万トンを超す大輸出国だけに騒ぎとなった。その後、農家の反発を受け、1日当たり3万トンまでの輸出を認めるなど同政府の迷走が続いている。
ワシントンにある国際食料政策研究所によると、昨年、19カ国が食料の輸出制限措置を発動した。その大半が世界貿易機関(WTO)への通報をせず、突然導入された。主に新型コロナウイルス感染の混乱防止が目的で、夏には解除されたところが多い。だが、今年になってロシアやアルゼンチンなど伏兵が現れた。
年明け、シカゴ先物相場はさらに急騰した。先週の米農務省発表で、米国内でトウモロコシや大豆の在庫が、市場予想を下回ったことが主な原因とされる。中国の旺盛な輸入意欲も一因だ。火に油を注いだのが、輸出大国による輸出規制であることは間違いない。
「ロシアなどの輸出規制によるわが国への影響は現時点で確認されていない」と農水省食料安全保障室の久納寛子室長は話す。確かに日本はこれらの国からあまり穀類を輸入していない。しかし、輸出規制が広がれば国際相場が値上がりし、日本へも影響は及ぶ。年明けから食料貿易に波乱の兆しだ。
日本農業新聞の購読はこちら>>

家族葬用の斎場設置 プロジェクションマッピング導入 時代に合った演出へ 佐賀・JAセレモニーさが
家族だけの葬儀を選ぶ人が増えている。これを受けて佐賀県のJAセレモニーさがは、家族葬専用斎場を鳥栖市に設置した。県内で初めて音と映像で演出するプロジェクションマッピングの機器を導入。祭壇に写真やメッセージを映し出して故人をしのぶ。同社は「家族だけで心を込めた見送りをしたいという人から喜ばれている」と説明する。
同社はJAさがの子会社で、管内の葬祭事業を扱う。……
Aコープ系など3社合併へ 4月発足、事業拡大
JA全農は18日、全農グループの全農クミックス(神戸市)、Aコープ東北(岩手県矢巾町)、エーコープ関東(横浜市)の3社が合併契約を結んだことを発表した。4月1日に合併し「Aコープ東日本」として発足する。効率的な要員体制などによる運営コスト減や、農作業用品の供給体制強化、事業拡大を進めるのが狙いだ。……

「スイートピーの日」に向け 150品種を合同展示 主産7県 大田市場で魅力PR
JAグループなど主要産地で作る「日本スイートピーの会」と花き卸の大田花き、フラワーオークションジャパンは18日、東京都中央卸売市場大田市場でスイートピーの合同展示を始めた。21日の「スイートピーの日」に向け、来場する買参人へ主力品種や産地独自品種など、色とりどりのスイートピーをPRする。22日まで。……

「発酵乳」作り方開発 子牛の下痢軽減 北海道大学大学院など 動画を公開
北海道大学大学院などの研究グループは18日、粉ミルクを発酵させた「発酵代用乳(FMR)」を安定して作る方法を開発したと発表した。子牛に与えたところ下痢症を軽減。“牛用のヨーグルト”である発酵乳は、子牛の下痢対策に有効といわれてきたが、原料に生乳や初乳を使うために発酵品質が安定しないのが課題だった。作り方を動画投稿サイトで公開し、健康な子牛の育成に役立ててほしいと期待する。……

20年産米販売 家庭向けもブレーキ 10、11月支出額 過去20年で最低
2020年産米の販売が低迷している。新型コロナウイルス下で業務用需要の苦戦が続き、頼みの家庭用需要も勢いを失っている。10、11月の米の家計支出額は過去20年で最低水準だった。緊急事態宣言の再発令で、販売環境は不透明さが強まる。需給の均衡に向けて、需要に応じた生産だけでなく消費喚起対策が求められる。(玉井理美)
総務省の家計調査によると、2人以上世帯の米の支出額は10月が前年比10・8%減の2604円、11月が同4・7%減の1847円。ともに過去20年の同じ月と比べて最も少なかった。内食傾向が高まり、9月までは連続で前年を上回っていたが、10月に減少に転じた。
20年産の米価は6年ぶりに下落したが、消費の刺激にはつながらず、購入数量も10、11月ともに過去20年で最低水準に落ち込んだ。主食で競合する麺類は支出額の前年超えが続いており、対照的な動きだ。消費者の米離れが背景にある。
農水省がまとめた主要米卸の11月の販売数量は、同3・5%減と8カ月連続で前年を下回り、家庭用の販売が業務用の低迷を補い切れていない。
消費低迷で、産地の販売も遅れている。農水省によると、産地から卸に引き取られた全国の販売量は、11月末時点で38万5000トン。前年同月より13%少ない。集荷量に占める販売比率は16%で、進捗(しんちょく)は例年よりも遅れている。
業務用需要の低迷で持ち越し在庫の消化が遅れていることに加え、家庭用米販売の鈍化も影響している。北陸地方のJA関係者は「家庭用定番銘柄でも販売に勢いがない。コロナの影響で試食などの販促活動がしづらい」と頭を悩ます。
消費低迷が続けば、今後の取引価格や需給にも影響を及ぼす。20年産の持ち越し在庫が多くなれば、需給を均衡させるために、21年産ではさらに転作の拡大が必要になる。
東北地方のJA関係者は「適正量の生産だけでなく、消費拡大も両輪で取り組む必要がある。事前契約を積極的に進めて販売先を確保しても、実際の販売が遅れれば厳しいことに変わりない」と指摘する。
日本農業新聞の購読はこちら>>
種豚改良に育種価活用 繁殖能力向上へランキング公表 国純会、今春めど
種豚場など国内の豚の育種・改良関係者らでつくる国産純粋種豚改良協議会(国純会)は「種豚の遺伝能力ランキング」を今春にも公表する。生存産子数など繁殖に関する能力の順位で、ランドレース、大ヨークシャー、デュロックが対象。雄は上位10頭、雌は上位50頭の順位の他、将来は産肉能力に関する育種価を示し、国産種豚の改良を促す。
国内の養豚場では、オランダやデンマークから輸入した多産系の種豚が急速に普及。……

通常国会きょう召集 コロナ対策 最重点
第204通常国会が18日、召集される。新型コロナウイルス対策が最大の焦点で、政府・与党は対策を盛り込む2020年度第3次補正予算と21年度当初予算の成立を急ぐ。緊急事態宣言を受けた農業への影響を巡っても論戦が繰り広げられる見通しだ。政府は農水省の4法案の他、企業による農地所有特例の延長を盛り込む国家戦略特区法改正案、地域的な包括的経済連携(RCEP)の承認案などを提出する。
農林関係法案審議 予算成立後に本格化
会期は6月16日までの150日で、18日は菅義偉首相の施政方針演説などを行う。20~22日には衆参両院の本会議で各党が代表質問する。
政府・与党は補正予算の月内成立、当初予算の年度内成立を目指す。補正予算は農林水産関係で1兆519億円を計上。園芸農家向けの「高収益作物次期作支援交付金」や感染防止への投資を支援する「経営継続補助金」など、コロナ対策を盛り込んだ。当初予算の農林水産関係は前年並みの2兆3050億円とした。
農林関係の法案審議は予算成立後に本格化する見通しだ。農水省は畜舎の建築基準の特例措置を盛り込む新法案や、輸出促進に向けた事業者の投資を支援する「農業法人投資円滑化特別措置法」の改正案など4法案を提出、早期成立を目指す。
国家戦略特区法改正案は、特区の兵庫県養父市で認めている一般企業の農地所有特例を2年延長するのが柱だ。同特区諮問会議の民間議員らが求めていた特例の全国展開は見送った。審議では、農地取得の必要性の他、諮問会議の在り方も議論になる可能性がある。
RCEPは昨年、日本、中国、韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国)など15カ国で署名。農産物の重要5品目は関税削減・撤廃の対象から除外したが、中韓とは初めての経済連携協定(EPA)となるため、影響の検証が課題になる。
議員立法では、狩猟者の技能講習の免除措置の延長などを盛り込む鳥獣被害防止特措法改正案や、過疎地域を財政支援する過疎地域自立促進特措法が3月末に期限を迎えることを受けた新法案が提出される予定だ。
7月には東京都議会議員の任期満了、7月23日には東京五輪の開幕を迎えるため、会期の延長は難しい見通し。政府・与党は提出法案の会期内成立を目指す。
衆院議員の任期満了が10月に迫る中、衆院解散の時期も焦点になる。4月25日には、吉川貴盛元農相の議員辞職と羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴う衆参の補欠選挙が行われる。こうした政治日程も絡むとみられるが、コロナの収束は不透明で、菅首相の解散戦略は依然見通せない。
日本農業新聞の購読はこちら>>
おうちジビエ試して食べて キャンペーン月末まで 日本食肉消費センター
おうちで手軽にジビエはいかが――。日本食肉消費総合センターは、国産のジビエ(野生鳥獣の肉)を使った加工品が当たる「冬のおうちジビエキャンペーン」を1月末まで行っている。自宅で気軽に楽しめるレトルトカレーや総菜などのプレゼントに加え、料理のレシピも提案する。……

コロナ禍の表裏 恐れず好機見いだせ 日本総合研究所主席研究員 藻谷浩介
久しぶりに台風が上陸しなかった昨年。洪水や土砂崩れの被害は、8月以降は避けることができた。しかし、3シーズンぶりに雪が多いこの冬、今度は雪害が心配だ。
とはいえ、この降水量の多さこそ日本の緑と実りが世界の中でも特に豊かな理由でもある。例えば、豪州では、日本の20倍の面積に日本の5分の1の人口しか住んでいないが、慢性的に水が不足している。地下水を過剰にくみ上げて行われる同国の農業も、いつまで安価大量生産を続けられるか疑問だ。
過剰反応は禁物
このように、利点と弱点は表裏一体だ。引き続くコロナ禍に関しても、同じことが言える。前提として、このウイルスは根絶できないことを理解したい。
この冬、インフルエンザの感染者はほぼゼロだが、インフルエンザウイルスがこれで根絶されたりはしない。仮に新型コロナの感染が収束しても同じことだ。これまで見事に感染を抑えてきた国・地域、例えば台湾、インドシナ諸国、ニュージーランドなどでは、免疫ができていない分、油断すればいつでも感染爆発が起きかねない。それに対し、感染抑止に失敗した米欧の多くの国で、危機感の高さから副作用を辞さずワクチン接種が進めば、事態が先に好転する可能性もある。
前回(2020年6月)寄稿した「論点」で筆者は、いったん感染が収まっていたことを背景に「コロナ禍はパンデミックではなくインフォデミック(恐怖心の感染)だ」と書いた。その後2度にわたって感染の再拡大が起きているが、「東京の今日の感染者は〇〇人」とあおるテレビを見て、皆さんはどうお感じだろうか。多くの地方、特に農山漁村においては、生活の実態に特に変化はないままなのではないか。
日本における死者数は、前回寄稿時の4倍以上に増えたが、人口当たりの水準では米国の37分の1、欧州連合(EU)諸国の30分の1だ。絶対数でいえば、年間の交通事故死者数と同レベルで、19年のインフルエンザによる死者数(関連死含む)の半分弱、がんによる死亡者の1000分の1強である。しかもその3分の2が首都圏と愛知県と京阪神の8都府県の在住者で、農山漁村のほとんどで死者は出ていない。
交通事故は極めて重大な問題で、一件でも減らす努力が必要だが、かといって通勤通学を禁止し経済を止めるべきではない。新型コロナの脅威にも、交通事故と同じレベルで用心し対処すべきだ。具体的にはマスクを外しての他人同士の会話・会食は当面避けるべきだが、怖がって家に閉じこもることもない。
人手不足解消へ
コロナの農業への影響で本当に深刻なのは、外国人技能実習制度の機能不全化だろう。であれば今年は、飲食店などで職を失った都会の若者を試用するチャンスではないだろうか。少子化は中韓台でも急速に進んでおり、農業の人手不足は今後とも深刻化する一方だ。
日本人の人件費を払える事業体に変化しなければ、どのみち生き残れない時代が来る。農協あるいは農業法人の協議体が、集団で取り組んではいかがだろう。
もたに・こうすけ 1964年山口県出身。米国コロンビア大学ビジネススクール留学。2012年から現職。平成大合併前の全市町村や海外90カ国を自費訪問し、地域振興や人口成熟問題を研究。近著に『進化する里山資本主義』など。
日本農業新聞の購読はこちら>>

なくそうコロナ差別 「シトラスリボン」で運動 愛媛・JA松山市
JA松山市CS(顧客満足度)向上委員会は、新型コロナウイルス感染者や医療従事者への差別をなくす運動「シトラスリボンプロジェクト」に乗り出した。全職員が各自でリボンを作り、制服の胸元や各職場内に掲示して賛同の意を示す。今後は来店客にもキットやリボンを配り、地域への波及効果も期待する。
プロジェクトは、コロナ禍で生まれた差別や偏見を耳にした県内の有志が、住みやすい社会を目指し始めた。……

[あんぐる] 売り切れ御免秘伝の甘味 日本最北限のサトウキビ畑と「よこすかしろ」(静岡県掛川市)
日本最北限のサトウキビ栽培地とされる静岡県掛川市南部(旧大須賀町横須賀)で、地砂糖「よこすかしろ(横須賀白)」の製糖が続いている。11月下旬から2月までしか作られない希少品で、起源は江戸時代にさかのぼる。戦後になって衰退するが、「伝統産業をもう一度」と願う有志らが1989年に復活させ、今では毎年20トンの製造が見込めるようになった。
風力発電施設を臨む畑で刈り取られるサトウキビ。風が強い一帯で2メートルほどにまで育つため、農地の防風にも利用されていたという
よこすかしろは、高級砂糖「和三盆」の原料にもなる白下糖(しろしたとう)。横須賀藩の武士が18世紀末に身分を隠して四国へ渡り、秘伝とされていた製糖技術を習得するとともに、サトウキビの苗を持ち帰って広めたと伝えられる。以来、産業として地元に根差すが、1950年代半ばになると、安価な輸入砂糖に押され、庭先に残されたわずかなサトウキビが、各家庭で消費されるほどになってしまった。
有志たちはまず、地域に残ったわずかなサトウキビから苗を育てて7アールの畑に作付けし、辛うじて製法を知る高齢者から技術を学んだ。年々耕作地を拡張し、今では作付けを40アールにまで広げ、2013年には製法を伝承するための「よこすかしろ保存会」を発足させた。19年からは大須賀物産センター「サンサンファーム」の一角で製糖を続ける。
200グラム800円。サトウキビから取れる砂糖は約8%のため、10キロから800グラム程度しか取れない。しかも、よこすかしろの製糖は全て手作業のため、1回4時間をかけて作れるのは25キロ未満。だが、保存会の松本幹次さん(68)は「収益性を上げるより、地域の文化を後世に残すことこそが目的」と話す。
コーヒーや紅茶に入れても、煮物や菓子に使っても上質な甘さが好評だが、そのまま口に入れるのが一番のお勧め。試食すると、甘さの中にほんのりとした塩味や独特の風味が感じられ、素材の味が広がる。よこすかしろと、それを使った製品は「売り切れ御免」。サンサンファームの他、市内の道の駅や老舗菓子店でも販売される。(仙波理)
「あんぐる」の写真(全5枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます
日本農業新聞の購読はこちら>>
鳥インフル 移動制限全て解除 厳重警戒続く 香川県三豊市
香川県は16日、三豊市で集中発生した今季12事例の高病原性鳥インフルエンザについて、発生農場から半径3キロ圏内で設けた鶏などの移動制限を全て解除した。通常は防疫措置完了後、最短21日の経過で解除できるが、狭い範囲で続発して埋却などの作業も難航。制限解除は昨年11月5日の初発生から約2カ月ぶりになる。今後は感染防止とともに、養鶏場の経営再建が課題となる。
今季の高病原性鳥インフルエンザは発生が15県に広がり、殺処分の羽数は36事例(48農場)で約600万羽となった。1シーズンの被害としては過去に例がない事態。直近でも全国屈指の養鶏産地、千葉県や鹿児島県で発生している。
香川県内の制限区域の解消により、今季発生した36事例のうち31例目まで(全体の86%)は鶏などの移動制限が全て解除された。現時点で制限区域が残るのは32~36事例の発生農場がある千葉、岐阜、宮崎、鹿児島の4県となる。
三豊市内では、県によると、12事例で約179万羽を殺処分した。鶏などの移動が制限された半径3キロ圏内では今も33農場が、約129万羽を飼養。制限が長期化したことで、県は「一部の農場では、ブロイラーが出荷できる日齢を超えたため処分された」と説明する。
移動制限の解除を受け県養鶏協会の志渡節雄会長は「(感染源とみられる)渡り鳥は、まだ周辺にいる。気を緩めず、感染防止に取り組む」と強調。その上で、「発生農場は、経営再開のめどが全く立っていない。国や県には支援や補償を早く示し、農家の不安を払拭(ふっしょく)してもらいたい」と要望している。
ため池が多い香川県では、渡り鳥が飛来する時季に発生が集中した。今後は春に渡り鳥が北へ移動する時季にウイルスが拡散する可能性がある。
北海道大学大学院獣医学研究院の迫田義博教授は「渡り鳥がシベリアに帰っていく、5月の大型連休ごろまでは厳重な警戒が必要。人、物の消毒や野鳥、野生動物の侵入防止など飼養衛生管理を徹底すべきだ」と話す。
日本農業新聞の購読はこちら>>