15年間の産出額増加率 首位はブドウで倍増 ブロッコリーは8割増
農水省が公表する農業産出額は、品目別の生産量に農家の庭先販売価格をかけて算出する。助成金などは含まず、出荷・販売で得た産地の収入。日本農業新聞が直近21年の上位50品目を06年と比べ、増加率をまとめた。
ブドウは高単価の「シャインマスカット」がけん引
全体の産出額は小幅増と大きな動きはないが、品目別では変化が見られる。トップのブドウは92%増。栽培面積や収穫量は減ったが、高単価品種の「シャインマスカット」が急拡大した影響。良食味で皮ごと食べられると消費ニーズが高い。「巨峰」や「ピオーネ」など他の品種から改植が進む。リンゴやミカンを上回り、果実で最大だ。
サクランボは43%増。ギフト商材として需要が底堅い。21年は主産地のひょう害で相場が高騰した影響もあった。果実は増加する品目が目立つが、高齢化などで供給力が弱まり高値相場になっていることも背景にある。
ブロッコリー、栽培しやすさ評価 輸入から転換進む
野菜ではブロッコリーが82%伸ばした。栄養価の高さでニーズが高まる。栽培しやすさも評価され、作付けの拡大が続く。足元では需要が落ち着いてきた。タマネギやエダマメなども増えたが、野菜は天候により需給や相場が変動しやすく、産出額もその影響を受けやすい。
畜産は全般に増えた。肉用牛は38%増の7662億円。和牛の生産増頭が続き「コロナ下でも家庭消費が堅調だった」(流通業者)。ブロイラー(鶏肉)は消費者の低価格志向と健康ニーズで増加傾向にある。生乳や鶏卵なども増えるが、22年以降は飼料高により生産が厳しい状況となっている。
苦戦している品目もある。米は消費離れが進み27%減。茶はリーフ茶の需要が長期的に減少している。ただコロナ禍で低迷した20年からは上向いている。(宗和知克)