農産物価格転嫁「できず」7割 見合う米価「1万4000円以上」 本紙集落営農調査
調査は9月に全国127組織・法人を対象に行い、47組織・法人からインターネットやファクス、郵送で回答があった。
調査では、生産コスト増が重荷になっていることが鮮明になった。肥料や燃油などの生産資材価格や人件費の上昇が「大きな影響がある」は85・1%、「やや影響がある」は14・9%で、「影響はない」「分からない」はゼロだった。
コストの回収にも苦慮している。生産コスト高騰分を農産物価格に転嫁できているかを聞いたところ、「十分にできている」との回答はゼロで、「全くできていない」が70・2%に上った。「一部はできている」は29・8%だった。
生産コスト高騰分を農家手取りの米価(60キロ当たり)に転嫁すると、いくらが適当かも聞いた。最多が「1万6000~1万8000円」の23・4%で、次いで「1万2000~1万4000円」が21・3%だった。「1万4000~1万6000円」は19・1%、「2万円以上」は17%、「1万8000~2万円」は8・5%などとなった。
主産地の23年産米の概算金は、前年より上昇したが同1万2000円台が中心。一部産地では概算金を追加払いする動きもあるが、望む米価水準との開きがある経営も多いとみられる。農水省が食料・農業・農村基本法見直しで掲げる農産物の適正価格の形成が改めて課題となる。
資材高騰について求める対策では、「資材高騰に対する価格補填(ほてん)」が48・9%と最多で、「農畜産物の値上げ(生産コストの価格転嫁)の理解促進」が34%、「生産コストを抑えるための技術や機械の導入支援」が6・4%などと続いた。
同省は肥料では、今年の春肥までは、前年度から増えた肥料費の7割を補填する「支援金」を設けていた。秋肥は化学肥料を低減する産地に、かかり増し経費の半額相当を助成する対策とした。