港湾ストライキで輸入遅延続く 冷蔵品や生鮮品の影響大
ストライキを行っているのは、全国の港で貨物の積み降ろしなどに従事する労働者組合の全国港湾労働組合連合会と全日本港湾運輸労働組合同盟。3月末から、週末の始業時から翌日の始業時までの「24時間ストライキ」などを行っている。
日本の港で貨物の積み降ろしができない場合、先に韓国や中国など他国へ向かうこともあり、日本への到着が後回しになっている。
生鮮品や冷蔵品などは、特に遅延の影響が顕著だ。冷蔵品の豚肉は賞味期限が60日あり、通常、通関を切る際には残りの賞味期限が30日程度になる。しかし、今回の港湾制限で「本来の到着予定よりも2週間程度遅れている」(大手食肉メーカー)ことから、残りの賞味期限がさらに半分に削られている。これ以上の遅延が発生する場合には、冷蔵品を船上で凍結させ、冷凍品として量販店に卸す必要がある。現状、店頭での販売価格に大きな影響は出ていないものの、「量販店への卸値は下げざるを得ない状況だ」(同)。
輸入果実にも影響が出ている。ストライキで作業ができないことを理由に日本を飛ばして他国へ向かった船便があったとし、輸入業者は「チリ産ブドウは、当初の到着予定より3週間ほど遅れた。品質低下の懸念がある」と話す。同社は港湾指定区域内に施設があり、ストライキ実施日は施設での出荷作業などができないという。欠品を避けるため、事前に2日分の注文を取るなど対応に追われる。
両組合は14日に団体交渉を行うとする。各輸入業者は、今後は団交の結果次第としつつも、「船会社側がスケジュールを変更している可能性もあり、妥結しても半月程度は影響が出るのではないか」と懸念する。
(廣田泉、菅原裕美)