食料安保大綱改訂 肥料高騰時の対応明記 4関連法案を通常国会へ
岸田首相は会合で、食料の需給変動や人口減などを課題に挙げ、「農政を抜本的に見直す」と宣言した。基本法は「制定から四半世紀を経て初の本格的な改正を行う」と強調。関連法も含めて、国会提出に向けて作業を加速するよう、坂本哲志農相らに指示した。
大綱は、食料安保の強化に向けた対策を位置付けるものとして2022年12月に策定。肥料対策は自民党が明確化を求めていた。農畜産物の適正な価格形成やスマート農業を巡る記述も追加した。
会合では、基本法改正の方向性も決めた。食料の安定供給へ、国内の生産基盤の重要性を強調。相手国の多角化など輸入の安定確保も重視する。人口減少への対応では、担い手を育成・確保しつつ、それ以外の多様な農業人材も位置付ける。
食料・農業・農村政策の「施策の全体像」も決定。基本法改正案に加え関連法案4本を通常国会に提出する考えを示した。
関連法案のうち、食料危機など不測時の対応を定める新法案は、影響の程度に応じて早期から政府一体での対応を可能とする内容。スマート農業の振興に向けた新法案は、技術の実用化や生産方式の変革などを促す。
農地関連法の改正案は、農地の総量確保に向けた国の関与強化や農地所有適格法人への出資規制緩和を盛り込む。「特定農産加工業経営改善臨時措置法」改正案は、来年6月末の期限を延長し、食品原材料の調達安定化に向けて金融・税制上の支援措置を新設する。