停電・断水なお広範囲 過酷な被災地インフラ
同省は地震発生直後、省内横断の「食料・物資支援チーム」を発足。石川県の要望を受け、業界団体を通じて食品15社に商品の提供を求めた。2日から食品会社や国が調達したトラックで金沢市の中継拠点に物資を送り続ける。
これまでにパン11万6000食、パックご飯3万食、即席麺9万食、ミネラルウオーター23万本、粉ミルク460個、液体ミルク200個を「プッシュ型支援」で送った。食品製造課の担当者は「品目を変えたり増やしたりしながら、必要な時期まで物資を送りたい」と話す。
一方、被災地の生活インフラは止まったままだ。同県によると5日現在、輪島市では1万400戸、珠洲市7700戸、能登町4800戸、穴水町3700戸など約2万7000戸が停電。復旧の見通しは立っていない。
輪島市、珠洲市など14市町では断水もあり、両市を含む7市町ではほぼ全域が断水している。自衛隊や全国の自治体から派遣された職員らが、給水車で給水したり、給水袋を配布したりしているが、調理するにも不便な状況が続く。
同省が送った食料はこうした状況に対応。火が使えない地域はパンを、プロパンガスなど火が使えれば即席麺を、などと県が被災地の状況に応じて配送しているという。同省担当者は「寒いので食事をすることで少しでも前を向いてほしい」と被災者に心を寄せる。
郵便局は輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町、中能登町で5日の窓口業務を休止している。
ヤマト運輸や佐川急便も各市町で荷物の預かりや配達を取りやめているが、佐川急便は能登営業所(七尾市)で荷物の受け取りサービスを再開した。全国から能登営業所止めで常温の荷物を送ることができる。
地震による基地局の停電などにより、各市町で携帯電話の通信障害も発生している。
JAバンクやメガバンク3社、ゆうちょ銀行、北國銀行は通帳や印鑑をなくしても身分証明書があれば預貯金の払い戻しに対応する。(糸井里未)