ランキングは今回53回目で、対象の産地品種数は前年より8減の144。産地による品種の絞り込みや、猛暑下での品質不安から出品を見送るケースもあった。
初めて特Aを獲得したのは4産地品種で、青森「はれわたり」、秋田「サキホコレ」、静岡の東部、西部の「きぬむすめ」となった。いずれも高温耐性を備えている。
北海道「ゆめぴりか」や山形「つや姫」、佐賀「さがびより」は特A獲得の連続記録を伸ばした。
特Aに格上げされたのは12産地品種。高温耐性のある品種では、滋賀「みずかがみ」、兵庫・県南「きぬむすめ」、島根「つや姫」が評価を高めた。秋田・県南「あきたこまち」も4年ぶりに特Aに返り咲いた。
一方、特Aから格下げされたのは13産地品種。猛暑や少雨、フェーン現象の影響を強く受けた東北や北陸の苦戦が目立った。新潟では、上越「コシヒカリ」が格下げされたことで特Aを獲得した「コシヒカリ」は、魚沼だけとなった。
品種別に見ると、特Aに格付けされた43の産地品種のうち、5割強を高温耐性品種が占めた。

<ことば>米の食味ランキング 日本穀物検定協会が1971年産から開始。89年から特Aを設けた。産地品種ごとに「特A」「A」「A´」「B」「B´」の5段階で格付けする。複数産地の「コシヒカリ」のブレンド米を基準に外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価の6項目で評価する。
西高東低じわり
前年のAから今回、特Aに格上げされたのは12産地品種。そのうち、8産地品種が関西や九州をはじめとする西日本の米だった。
「さがびより」が特Aを14年連続で獲得した佐賀県では、産地から喜びの声が上がった。JAさが米穀販売課は「作柄が良かったので多分大丈夫だと思っていた。報告を受けほっとしている」と話した。指導的農家「さがびより米(マイ)スター」を中心にした、品質の高い米作りの成果が実ったとみる。
一方、前年の特Aから格下げされた13の産地品種では、甲信越を含む東日本が9を占めた。「ひとめぼれ」や「コシヒカリ」が格下げされた他、「つや姫」や「雪若丸」など高温耐性を持つ一部産地品種でも評価が下がっており、“災害級”とも呼ばれる昨夏の猛暑が大きく影響した。
新潟県は23年産米の栽培期間中に県内全域で酷暑と渇水に見舞われ、「特A」産地は前年から1産地減って魚沼産「コシヒカリ」だけとなった。6産地の「コシヒカリ」で魚沼だけが「特A」になるのは、1994年産以来29年ぶりとなる。県内JAなどは、24年産に向けて高温対策に取り組み、巻き返しの姿勢を示した。
