[ニッポンの米]備蓄米販売でJA利益なし 必要経費だけ上乗せ 農水省調査で裏付け
備蓄米は、全農など大手集荷業者に入札方式で販売された後、卸売業者を経て、小売業者や中・外食事業者など実需に供給される。
備蓄米放出が始まったが、米の価格は高止まりし、集荷業者が原因だとする見方が一部にある。江藤拓農相は18日の会見で、集荷業者について「運送経費だけを加え、利益を(価格に)乗せていないことは数字の上でも明らか」と述べ、こうした見方を否定した。
同省は集荷業者に対し、①卸売業者への販売量・価格②販売先の卸売業者から実需への販売量・価格──を2週間に1回、報告するよう義務付けている。今回は報告を基に、3月30日時点の流通状況を集計し公表した。
それによると、集荷業者は2万1352円(60キロ当たり、税別)で仕入れ、2万2402円(同)で卸売業者に販売していた。
一方、卸売業者からは小売りに3万4114円(同)、中・外食事業者に3万2920円(同)で販売。卸売段階での上乗せ額は、それぞれ1万1712円、1万518円となる。集荷段階の10倍以上だが、同省によると、精米や袋詰めに費用がかかるため通常の水準という。
小売りの仕入れ価格を5キロ当たりの税込み価格に換算すると3070円となった。
3月30日までに国から集荷業者に引き渡されたのは4071トン。3月10~12日の初回入札での落札分のうち、3%にとどまった。
(北坂公紀)