基腐病に抵抗性 焼酎向け新品種 サツマイモ、農研機構が育成
「コガネセンガン」は、全国のサツマイモ栽培面積の2割超を占めるが、同病の被害が大きい。焼酎原料の供給不足が深刻化する中、農家や焼酎メーカーは後継品種を求めていた。
同病への抵抗性は、同病が多発した鹿児島県の畑で試験した。5月に植え付けて9月に収穫したところ、「コガネセンガン」は6割の芋に被害が出たが、「みちしずく」は1割以下にとどまった。「みちしずく」の育成地(宮崎県都城市)での収量は、3カ年平均で10アール当たり4250キロ。「コガネセンガン」より16%多かった。
「みちしずく」は、焼酎の醸造適性に優れ、メーカーが焼酎にしたときの味や香りを調べた試験では「コガネセンガン」とよく似ていると評価された。でんぷんの含有量や白度も高く、でんぷん原料用としても適性がある。
鹿児島、宮崎の両県で今春からJAや焼酎メーカーなどが種芋の生産を始めた。農家はこれらの団体を通じて種芋を入手できる。他産地では、同機構が熊本県で生産した種芋を供給する。同機構は「基腐病の被害を軽減し、焼酎・でんぷん原料の安定供給につながる」とする。