和牛の精液や受精卵管理 書類に不備、マニュアル未整備も 農水省調査
調査は、和牛の精液や受精卵の不正流通を防ぐため、家畜人工授精所に管理強化を求める改正家畜改良増殖法などが、2020年に施行されたことを受けて実施した。
立ち入り検査は20年11月~22年3月にかけて実施。不備が見つかった31カ所のうち、29カ所は精液証明書や人工授精簿などの管理に関するものが多かった。具体的には、精液ごとに管理が必要な証明書について①実際の在庫数と一致しない②未使用・使用済みが区分されていない③譲渡先など必要な記載がされていない──などが確認された。人工授精の作業記録の帳簿も記載の不備がみられた。
人工授精所の設備や器具管理でも2カ所の不備を確認。精液や授精器具などの保管環境が衛生的でない、施錠できる保管庫がないといった状況だった。
自己点検は4270カ所で実施、3950カ所から回答を得た。精液・受精卵の生産で異物混入や取り違えを防ぐマニュアルの未整備が27%、精液・受精卵の譲渡などの記録簿の未記載が7%、県に毎年運営状況を報告しなければいけないことを把握していないが5%に上るなど、改善すべき状況が見られた。
同省は同日に発出した通知で、家畜人工授精所や獣医師、家畜人工授精師などへ指導徹底を要請。県の担当者を集めた会議や、家畜人工授精師などへの研修会も開き、法令順守の徹底を図るとする。