[論説]サツマイモ基腐病 梅雨時期のまん延防げ
17日、宮崎県は青果用と焼酎原料用サツマイモの圃場でサツマイモ基腐病の発生を確認したと発表した。2023年産では、県内の圃場で初となった。
農研機構九州沖縄農業研究センターによると、この病気に感染すると、サツマイモの茎葉や塊根が枯死・腐敗する。原因はカビ(糸状菌)の一種で、発症すると株元が黒く、葉が黄などに変色して芋は腐敗する。18年秋に鹿児島、宮崎両県で確認されて以来、各地に感染が拡大。水を介してまん延するため、宮崎、鹿児島両県では21年、8月の長雨で一気に病気が広がり、産地に壊滅的な被害をもたらした。
22年産は抵抗性品種や健全苗の確保に加え、異常株の早期抜き取りなど、産地の総合的な対策が奏功し、発生減少につながった。ただ、昨年は梅雨の降雨量が少なかったこともあり、今年も油断はできない。特に「コガネセンガン」「べにはるか」「高系14号」は同病への抵抗性が弱く、注意が必要だ。
宮崎県によると、薬剤は本圃への植え付け35日後(5週目)ごろから、アミスター20フロアブル、トリフミン水和剤および銅剤(Zボルドー、ジーファイン水和剤)とのローテーション散布を行う。
今の時期は、多くの苗が大きく育っていないことから、株元にしっかりと殺菌剤がかかるよう散布しよう。
感染防止は早期発見が鍵となる。圃場をしっかり観察し、葉のしおれや黄化、株元の変色などが見つかった場合は発生株を抜き取り、薬剤散布を前倒しで始めよう。
排水対策も徹底したい。基腐病は、水はけが悪い場所で発生しやすい。特に排水路に砂がたまり、圃場の水が排水路へ流れ込みにくくなっている場所で、基腐病の発生が多くなっている。梅雨が始まる前にいま一度、排水性を確認し、水路が詰まっていたり、通りが悪かったりした場合は砂などを除去しておこう。
この時期、多くは本圃での苗の作付けが始まったばかりで、育苗床への意識は薄れがちだ。次期作での感染を防ぐためにも、育苗床の土壌消毒も忘れないようにしたい。
基腐病菌の菌糸の発育に適した温度は27・5度から30度。今後、感染拡大に最適な時期となる。基腐病菌を圃場に「持ち込まない」「増やさない」「残さない」の三つの対策を励行し、収穫の時期を迎えたい。