[論説]JA職員となった君へ 対話重ね自分軸作ろう
対話を通して生まれたアイデアは多い。JAの次世代育成プロジェクトや企業と連携した事業などで、みんなの先輩が企画した商品やサービスが採用されているんだ。JAのトップにインタビューをすると「思いもかけない発想に驚く」「良い案はどんどん採用している」と、若い世代の考えを積極的に取り入れている声も聞く。
ただ、いきなり意見を言うのはハードルが高いよね。まずは「質問」から始めてみてはどうかな。農業やJAにまつわる専門用語は難しいし、農業の世界で一体、何が起きているのか、分からないことだらけだろう。新聞やテレビ、インターネットなどを通して疑問に感じたことを勇気を出して質問してみよう。そして、分からないことは分からないと素直に言おう。対話はそこから始まる。
新入職員を受け入れる先輩の皆さんは、若い世代の声を否定せず、「自分はこう思う」「こういう方法もあるよ」と助言してほしい。その積み重ねによって、お互いの関係性が深まっていく。
気候変動は常態化し、世界のあちこちでは戦争が起こってやまない。年明けの能登半島地震など大きな自然災害が頻発し、肥料や飼料などの資材高騰も収まらない。学校や企業などでは、いじめやパワハラ、セクハラなども後を絶たない。
息苦しく暗い気持ちになりがちだけれど、こういう時代だからこそ、必要なのは「困った時はお互いさま」という協同の精神だ。これまでも数多くの災害や出来事があった。それでも乗り越えられたのは協同の精神が根付いていたから。まず利益を追求する企業と違い、JAには助け合いの心があるんだ。
職場に慣れたら、次の段階はJAや地域を超えた関係をつくろう。農家の出身ではない農業経営者は「今、抱えているさまざまな課題は、農業界だけ、地域内だけでは解決しない。他の地域や異業種と連携することが大事だ」と話す。性差や年齢、業種、国籍が違う人と話した時に得られる刺激と楽しさを、ぜひ体感し、力に変えてほしい。それが激動の時代にあっても、ぶれない自分軸に育っていく。
誰しも食べなければ生きていけない。JAグループが掲げる「国消国産」「地産地消」を心に刻み、共に農業と農村を支えよう。