[論説]島田洋七さんに学ぶ 名言生かし人生豊かに
日本農業新聞で7年にわたって連載した島田さんの「笑ってなんぼじゃ!」が3月、終了した。「半生編」「世相編」「あの人この人編」の3部作を振り返り、読者からは「学ぶことが多く、心がほっこりした」「人との出会いが大切と改めて感じた」など多くの声が寄せられた。島田さんの連載が、それぞれの人生に伴走する応援歌のような存在だったことが分かる。
島田さんが出会った人について語った「あの人この人編」では、美空ひばりさんや東尾修さんなど昭和を彩る有名人が多数、登場した。
特に反響を呼んだのが、萩本欽一さん。「人生うまくいかない時は、間が悪かっただけ。そのうちにいい間が来る。農業も自然相手で自分の力ではどうしようもないことに遭遇するけど、これも間。諦めないで続けることが大事」という萩本さんの言葉に、読者からは「泣きそうな時、前向きになった」との感想が寄せられた。農業は異常気象や資材高騰など、思うようにいかないことが多いが、この名言を思い出したい。
読者からの質問にも、島田流で答えてくれた。質問で一番多かった「人とのコミュニケーションが難しく、どうしたらいいのか」といった悩みには、「無理して好かれよう思たらきついで。最初から100%合うやつなんておらんと思って接した方が気が楽」と助言。「今度就農するけど近所づきあいの秘けつとは」には、「笑顔であいさつしていたら、向こうから『困ったことない?』と声かけてくれる。無理に気負わんと、自然体でいこう」と呼びかけた。
都会から農村への移住相談が2022年度は過去最多の37万件となり、海外からの実習生も増え、暮らしは多様化している。うまく付き合うための参考にしたい。
佐賀での貧乏暮らしをつづった「半生編」では、祖母「がばいばあちゃん」の人生訓が光った。「通知表は、0じゃなければええ。1とか2を足していけば5になる。人生は総合力だから」「人間には偉い人なんかおりゃせん。努力すればすごい人になるたい」「人間は死ぬまで夢を持て! 叶(かな)わなくても、しょせん夢やから」。ばあちゃんの本質を突く言葉に、心がふっと楽になる。島田さんの座右の銘は「どんな人でも、何かの役に立つ」。さあ「笑顔でいきんしゃい!」。