冬の心の健康 光浴びて調子整えよう
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまなストレスを私たちは受けてきた。明治安田生命が7月に行った調査によると、3人に2人がコロナ禍で「ストレスを感じている」と回答した。原因は「外出が制限されているから」が最も多く、次いで「コロナに感染することが心配だから」「人に会う機会が減ったから」の順だった。
この調査では「コロナ後」にストレス発散のためにしたいことを聞いた。結果、多い順に国内旅行、外食、買い物などとなった。
ワクチン接種が進み、緊急事態宣言も解除されてから、街中や観光地ではにぎわいが戻りつつある。JAでも生産部会や青年部、女性部などの活動やイベントも再開の動きが見られる。しかし感染防止対策を取りながらも、少しずつ「したいことができる」ようになってきたのに、どういう訳か気持ちが落ち込んではいないだろうか。
原因の一つとして考えられるのが、日照時間の減少だ。日が短くなり受ける日光の量が減ると、心を安定させたり自律神経のバランスを整えたりする脳内ホルモンのセロトニンの分泌が減り、イライラしやすくなる。日照時間の減少は体内時計を調節する同メラトニンの分泌にも影響し、不眠といった睡眠障害の原因にもなる。ひどい場合は季節性感情障害(冬季うつ病)という病気になってしまう。
これらの緩和には、強烈な光を浴びることで体調を整える光療法がある。気象予報士の森山知洋さんによると、特に朝の太陽光には、体内時計を整えて気分を高める効果がある。また、日本海側など日照時間が極端に少なくなる地域では、特に朝、照明を意識的に明るくすることで体調を整えることを勧める。
この冬、可能な地域では、晴れた日の朝は積極的に田畑に出て農作業をし、日光を浴びよう。今年の日本農村医学会学術総会では、農作業が、高齢者の特に男性で心の健康に良い影響を与えていることを示す研究発表もあった。
一般的なうつ病は食欲不振や不眠が特徴だが、冬季うつ病の特徴は、特に甘い物への食欲が増し、睡眠時間が長くなって起きられなくなるという。気になる症状があれば医師に相談しよう。
感染力が強まっている可能性が指摘されているオミクロン株の出現などでコロナの感染動向は不透明だ。感染防止対策の徹底を含めて、心身の健康に一層気を付けたい。