[参院選]男女共同参画 「私だから」輝く未来へ
今回の参院選は、選挙で男女の候補者数をできるだけ均等にするよう求める「候補者男女均等法」が施行されて3回目の国政選挙だ。各党とも女性擁立を強化し、候補者数は181人と過去最多になった。全体に占める割合も過去最高、とはいえ33・2%で「均等」には程遠い。
政府の第5次男女共同参画基本計画では、農業分野で指導的地位に占める女性の割合を2025年度までに、JA役員で15%、農業委員で30%、土地改良区理事で10%に引き上げる目標を掲げる。だが、20年度の女性のJA役員は9%、農業委員は12%、土地改良区の理事においては0・6%にとどまる。
農水省は、JA・農業委員会向けと土地改良区向けにそれぞれ、女性登用の手引を作成した。JA・農業委員会向けは、①女性自身の意識向上といった「土壌づくり」②女性・地域枠設置など「仕組みづくり」③研修など「人づくり」――と、段階を踏まえた進め方を提起。採択には加わらないが理事会で意見が述べられる参与制度を経てJA理事に就任したり、「一日女性農業委員会」で農政への関心を高めたりといったモデル事例を紹介した。
一方、土地改良区向けには、女性登用がなぜ必要かをQ&A方式で説明。候補者選びに員外理事制度を提案し、参画しやすい手法を示した。
女性登用の効果は大きい。鹿児島県のJAあいらでは女性理事らが発案し、牛のブロック肉にローストビーフのレシピを付けて販売、農業者の所得増大につなげた。埼玉県東松山市の農業委員会では、女性委員が住民アンケートを実施し、農地集積が進んだ。土地改良区では多面的機能保全活動の広がりを見込む。男性主体の組織に新たな視点が加われば、運営は活性化し、地域も元気になる好循環が生まれる。
欠かせないのが男性のサポートだ。6月に政府が決定した「女性版骨太の方針2022」では、男性の育児休業取得を推進し、家庭や地域での活躍を促す。主に女性が担ってきた分野へ男性が積極的に携わることは、凝り固まった性別による役割分担から男女を解き放つ一助となる。
新しい考えや異なる見方から、事業を発展させるアイデアは生まれる。性別ではなく「個性」として捉えることが多様性を尊重する社会につながる。