弘前市・小田切葵さん

2024年4月には宮下宗一郎知事と対話できる「アオバナ会」に応募。農業の問題に対し、女性の観点で意見交換した。
小田切さんは仲間たちと商品も開発している。「Nice to Ringo you!!」の名前でりんごバターとジュースを県内数カ所で販売し、好評だ。リンゴが出回らない時期にも青森を感じてもらいたいと、商品ラベルにはリンゴの花をデザインしている。
行政から声がかかることも増え、2025年1月には農水省の補助金を活用し、東京都内の二子玉川ストリートマーケット「ふたこ座」に参加して青森リンゴをPRする。
「農業はまだまだ男性が主体のイメージが強い。そこに女性の感性が加わればもっと可能性が広がるのでは」と小田切さん。これからも農業女子の背中を押しながら、リンゴ生産量日本一の青森県を元気にしていく。
つがる市・高橋健二さん

就任1年目、年に4回開いている栽培講習会を1回増やし、近年の気候に合わせた栽培技術の習得に努めた。講習会や目ぞろえ会では、高橋さんが積極的に若手生産者を中心に声をかけ、雑談の中から個々の栽培状況や困り事などを聞き出している。普段からコミュニケーションを大切にし、部会員の不安解消につなげている。
部会としてはネギの生産者を増やすと同時に、種苗メーカーとも情報を共有して、近年の天候に適した品種の作付けを検討するなど、部会全体の収量アップを目指す。今後は部会員、収量ともに増やし、産地としての認知度を高めたい考え。部会を大きくする夢を叶(かな)えるため、高橋さんは「ネギの栽培に興味がある人は一緒にやろう!」と呼びかけている。
東北町・久保田大地さん

七戸町の県営農大学校を卒業後、すぐに就農。父の信一さん(61)の下で、栽培技術や経営方法を学び、昨年大地さんへ代替わりした。
就農のきっかけは学生時代に行った農家研修で、地域農業について語り合う生産者の集まりに参加したこと。明るく真剣に話し合う姿に「農業って楽しそうでかっこいい」と感銘を受けた。
就農してからは、加工用の作物の生産に力を入れる。青果用のダイコン栽培では、収入も安定せず長時間労働だったが、加工用に切り替えたことで作業時間は3割減少し、収入も1・5倍になった。
今後は、加工用のダイコン、キャベツの面積をさらに増やしていきたい考え。「家族経営の限界はあるが、20年、30年たっても面積・数量を落とさない強い農家になりたい」と夢を語った。
三沢市・浦田忠博さん

浦田さんは同市の農業を盛り上げるため「農家同士で助け合い、協力しながら共存できる環境を取り戻したい」と語る。また、後に農家を継ぐ息子や若い世代の農家に対して「若い世代の農家には、仲間意識を持ちながら農作業、また知識や技術共有をしながら農業を盛り上げてほしい」と次世代に向けて期待を寄せる。
自身のこれからの目標として、従業員の十分な確保を掲げる。十分な設備を整えても、人手がいなければ規模拡大が見込めない。そのため、浦田さんは「一緒に働きたいと思ってもらえるような環境をつくり上げていきたい」と話す。
黒石市・工藤翔也さん

約3年前、祖父母が農業を引退してしまう前に「年間の農作業を教わり、円滑に後を継ぎたい」と思った工藤さんは勤めていた会社を退職して就農した。以降、農業について学びながら日々の作業に努めてきた。「会社に勤務していた頃と違い、農業は開放的な気持ちで仕事ができる。また、自分の頑張りが結果となり見えるところにやりがいを感じる」と、農業の魅力について話した。
工藤さんは今後について、「家族に不自由な思いをさせないよう、安定した農業経営を目指していきたい」と意気込む。
「祖父母の引退などで労働力が不足した時のことを考え、新たにわい化の木を植えて、効率よく作業できる体制を作る準備を進めている。また品種についても、海外需要の高いものを栽培することで、所得向上を進めたい」と意欲を見せる。