

3月14日の給食時間。南第一小学校5年1組に11個の食缶や大皿が運ばれると、教室に歓声が上がった。
この日の共通メニューはご飯とジャコ豆、カレースープ、牛乳。主菜はポークチャップと鶏肉のレモンマリネから、副菜は根菜のコーンクリーム煮かサツマイモとブロッコリーのハーブ炒めから、デザートはカボチャプリンかキャロットケーキから、一つずつ選ぶ。栄養士の酒巻梨々花さん(27)が、この日のために「大量に作るのが難しく、手間もかかる」料理を考えた。
でも、なぜ?――。市教育委員会によると、肥満などが全国で問題になり始めた1991年、「栄養バランスの取り方を楽しみながら学んでもらおう」と、赤、緑、黄の食品群を組み合わせたメニューの選択式を導入した。どんな取り合わせでも栄養が偏らないようにしつつ、児童も「タンパク質は赤色」など授業で学んだ知識を基に盛りつけながら、後続の人の分がなくならない配慮も考えてもらう目的だった。

児童は選べることを喜び、取り過ぎない気配りも身に付いた。選ばなかったメニューのお代わりも相次いだ結果、食品ロスがなくなる「思わぬ効果」も生まれた。酒巻さんは「昨年度の残食率は普通給食17%に対し選択式給食はゼロ。驚きです」と笑う。
配膳の列はくじ引き順。白數未桜さん(11)は「朝ご飯が豚汁だったから、お昼は鶏肉。緑色が欲しいから副菜はハーブ炒めだ」。お代わりした楠田龍太さん(11)は、最初に選ばなかった3種をお皿に盛り「両方食べてみたかった」と笑顔。空っぽになった食缶と大皿が次々と給食室に戻されていった。