淡い色合い「おわら」の調べ 漫画家・小玉さんが新商品イラスト 富山・JAあおば
富山市八尾町のおわらを題材にした漫画「月影ベイベ」の作者、小玉ユキさんが、JAあおばの新商品「越中恋風ゆずしょうがアメ」のパッケージにイラストを提供した。つややかに踊る男女を描いた絵柄は、甘酸っぱい風味にぴったり。開発担当者の「コロナで苦しむ地元を応援したい」という思いに小玉さんが応えた。県内で8月に発売してから2000袋以上を売るなど好評だ。
おわら風の盆は9月初めに行う八尾の伝統行事。哀調を帯びた胡弓(こきゅう)と三味線の調べに合わせ、しっとりとした所作の男女が坂の町を美しく流れる。数々の小説や映像作品に描かれてきたおわらは、小玉さんの「月影ベイベ」でも重要なモチーフだ。
だが、全国から20万人以上が訪れるおわらもコロナ禍で2年連続中止になった。JAあおば経済課の岡崎隼弥さん(28)が商品開発に乗り出したのは、観光や宿泊、飲食業の苦境を間近に見てきたからだ。「少しでも地元を元気にできないか」と考えていた時、サクマ製菓から商品作りの打診を受けた。
中山間地を多く抱えるJA管内の生産者は、有害鳥獣対策でショウガ作りに力を入れている。「地元の産物を活用し、大人も子どもも楽しめるものに」「伝統文化を発信し、地域の力になりたい」。幾つもの思いが商品に結実していく。
■町への思い込め手紙で依頼
岡崎さんは八尾高校出身で、伝統芸能を守り継ぐ高校生たちを描いた「月影ベイベ」など小玉作品のファンだった。イラストを依頼する手紙を出版社の小学館に送り、地元の現状も含め自身の思いを文面に込めたという。
小玉さんは快く引き受けた。完成した絵柄は編みがさの男女が寄り添い、美しく所作を絡める場面。澄んだ空と淡い色合いが、吹き抜ける風を想起させる。岡崎さんは「甘酸っぱい味にとてもマッチしている」と感謝する。
1袋300円。袋の裏におわらの解説を添えた。JA直売所などの他、インターネットでも販売している。問い合わせはJA本店、(電)076(454)3170。(富山)