困窮するひとり親家庭へ 農家等から野菜や米の寄付を募集 グッドネーバーズ・ジャパン

ひとり親家庭に支援を フードバンク「グッドごはん」

 ひとり親家庭を対象としたフードバンク事業「グッドごはん」を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(東京都大田区)が、野菜やお米の寄付を募っている。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済の停滞、そして2022年からの物価高騰が続く中、低所得のひとり親家庭では、育ち盛りの子どもたちが十分に食べられていない。フードバンク利用家庭からは「子どもが、自分がご飯をいっぱい食べるとお金がかかると気にしている」「物価高騰で野菜がない生活が続いている」などの声が届いている。もともと「低所得層ほど栄養バランスの取れた食生活ができていない」ということが、様々な調査結果から明らかになっているが、その栄養格差の拡大が懸念されている。

グッドごはんにて、お米を受け取る子ども
グッドごはんにて、お米を受け取る子ども


 グッドネーバーズ・ジャパンが2017年より運営するグッドごはんでは、首都圏・近畿圏において、経済的に困窮するひとり親家庭(※)を対象に月に一度、無料で食品を配付している。内容は主に企業や個人から寄付されたお米や麺類、レトルト食品、調味料、飲料、お菓子など。約10,000円相当のカゴいっぱいの食品を毎月ひとり親家庭に配付している。物価高騰が収まらない中、グッドごはんの利用を希望するひとり親家庭は毎月およそ200世帯のペースで増加し、提供する食品の確保が困難になっている。現在、特にお米や野菜の寄付を募集している。
※当事業の対象者は、ひとり親家庭医療費受給者証を持つ、所得が限度未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭。通常は首都圏または近畿圏の配付拠点に直接取りに来ることが可能な世帯。

グッドごはん利用者の経済状況
グッドごはん利用者の経済状況

支援の輪広がる グッドごはん利用者と寄付者の声

 厚生労働省の2019年国民生活基礎調査によると、ひとり親家庭における子どもの貧困率は、48.3%で、約2世帯に1世帯が相対的貧困の状態にある。これは全家庭対象の子どもの貧困率14.0%を大幅に超える。また、低所得世帯は、コロナ禍での経済停滞やウクライナ情勢に伴う物価上昇の影響を受けやすい。グラフを見ると、グッドごはん利用者を対象にした調査において、世帯収入(養育費や各種手当含む)が200万円未満である家庭の割合は2019年調査では47%だったが、2022年調査では54%に増加した。つまり、グッドごはん利用者の半数以上が年収200万円未満で子どもを育てていることになる。
 あるひとり親家庭では、ご飯もパンも切らし、保育園に通う子どもに何を食べさせようか悩む日々が多々あったという。また、別の家庭では、中学生の男の子の体重が8キロ減少してしまったという事例もある。

 グッドごはん利用者からは、特に毎日食べるお米と野菜の支援に感謝する声が多い。たとえば、「お米は本当にありがたい」「いつもは節約しているご飯を、子どもにお腹いっぱい食べさせてあげることができた」「〇〇県のお米のファンになった」という声が多数届く。そして、野菜や果物は特に「高くて買えない」ため、「野菜を食べる頻度が減り、子どもの栄養面が心配」という声が多い。グッドごはんで支援を受けた家庭からは、「こんなに美味しい野菜は久しぶりに食べた」「食品を大切する気持ちも出てきた」と感激の声が寄せられている。 
利用者からの感謝の手紙利用者からの感謝の手紙


 他方で、グッドごはんへお米や野菜を寄付した人々からは、「自分の野菜が役立ち皆さんが喜んでくれて、まるで神様のお仕事をさせていただいているようでうれしい限り」「貧困問題に少しでも役に立てることがわかり嬉しかった」と、社会課題解決への貢献を喜ぶ声などが上がっている。また、規格外の品を「味は美味しいのにもったいない。困っている子どもたちを少しでもサポートできたら 」という想いで寄付をする農家も多い。「貧しさで『おかわり!』を我慢する子どもがいる状況は、あまりにも辛く、悲しいです。そんな方々の一助になればと思い、支援をさせて頂きたいと思います」と、支援の理由を説明する人もいる。 

○食品寄付も税控除の対象
グッドネーバーズ・ジャパンは、2013年より認定NPO法人(※)として東京都から認可を受けており、個人の寄付は寄付控除の対象になり、法人の寄付は一般の寄付金に係る損金算入限度額とは別枠で損金算入をすることが可能となる。
詳細はこちら
※NPO法人が、比較的形式的に「公益性ある団体であるか」を判定して認証されているのに対し、認定NPO法人はより高い税制優遇を適用するために「より客観的な基準において、高い公益性をもっている」ことを判定された法人である。(認定NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会ホームページより引用)
○食品寄付のお問合せ
同団体では、農家や生鮮食品を扱う法人よりお米や野菜、冷凍食品等、食品の寄付を受け付けている。寄付希望者は以下の問い合わせ先まで。

■問い合わせ先
認定NPO法人 グッドネーバーズ・ジャパン
〒144-0051  東京都大田区西蒲田7-60-1 ソメノビル7階
[Eメール] good-gohan@gnjp.org
[Tel] 03-6423-1768 平日10時-17時 音声ガイダンス
「食品支援グッドごはん」https://www.gnjp.org/


<制作=日本農業新聞 広報局>




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