□ 審査講評
クロスメディアで大きな成果
審査委員長 多摩美術大学名誉教授 中島祥文
2022年度のグランプリはエフエムシー・ケミカルズの「プレバソ

ン フロアブル5」が獲得した。工夫が見られたのはそのメディア施策だ。まず新聞15段でローンチのインパクトを与え、1カ月後にウェブバナー広告を展開、クロスメディアにより大きな成果をあげた。徹底したグリーンのイメージで、新聞では商品を詳細に語りながら、ウェブでは商品をスピード感あふれる表現で印象付けた。
準グランプリには、NTTファイナンスの「ビリングONE活用事例」が選ばれた。広告では請求書の電子サービスの導入事例を紹介。例えば毎月15時間かかった作業が1時間で終わった事例など、大幅に効率化した成功例を紹介し高い評価を得た。
大型部門では、JR貨物北海道支社の「収穫旅行。」は、メインのお芋の写真がカタチの面白さと鮮やかな色彩でインパクトを放ち、本文コピーの「とうきょうの、おうちで、カレーになるいも。」に象徴されるように、北海道産を支える姿勢を示して受賞した。バイエルクロップサイエンスの「ビーラムセンチュウ防除にこれ“いいね”。」は、長期の効果が期待できるので計画が立てやすいといった、農家の声を反映させていて説得力を持った。
記事下部門では、馬事畜産振興協議会の「地方競馬ミルクウィーク」が受賞。牛乳・乳製品の消費拡大の応援をはじめ、日本の酪農を応援し、畜産を元気にするメッセージを発信した。また、サカタのタネの「花は心の栄養 野菜は体の栄養」が、無数のタネで作られたウサギの素朴なシルエットで多くの読者に癒しをもたらした。
バリエーション部門では、中央酪農会議の「酪農振興」の2作品は、酪農家を通して国産100%の牛乳の安定した供給を訴え、もう一つの新聞15段では、芸人のミルクボーイが牛乳の特性を面白くアピールし、興味を喚起させた。またNTT東日本の「次のミライは、あなたの街からはじまる。シリーズ」が、未来を志向したシリーズ広告で受賞。こちらも新聞15段やウェブ広告の展開だ。農業コミュニティーや先端技術とドローンを融合させるなど、新たな価値を創造する次世代農業への試みを伝えた。
記事体部門では、World Wide Systemの「SmartReceicoキャンペーン」は、写真や図を見やすく作り、JA宮崎経済連の導入事例紹介で、記事体広告として充実した内容となった。またアマゾン ウェブ サービスジャパンの「高知県とAWSの挑戦」は、高知県におけるデジタル技術の活用を紹介し、農業データ収集による生産性向上への取り組みが評価され受賞した。
ウェブ部門では、井関農機の「ロボット田植機、コイン精米機キャンペーン」が、いくつかのデザインをループで流し、ロボットならではの機能を強調。コイン精米機では、最も目立つ位置に広告を出稿し、認知度を高めて受賞。また、エス・ディー・エス バイオテックの「ダコニール1000」は、キャラクターのダコ坊やが「先手必勝」のコピーで予防や同時防除への有効活用を訴求した。
審査員特別賞は、中央酪農会議が受賞。二つの異なったアプローチで酪農への熱意を語り、バリエーション部門優秀賞とのダブル受賞となった。
□ 会長あいさつ
広告賞表彰に寄せて
株式会社日本農業新聞 代表取締役会長 港 義弘
日本農業新聞広告賞は、優れた広告の顕彰により読者に貢献する

広告掲載を促進するため創設いたしました。今回は2022(令和4)年度の本紙掲載広告を対象に、全国の読者審査員をはじめ広告の専門家による厳正な審査を経て、優れた作品が選ばれました。
受賞されました皆さまには心からお祝いとお礼を申し上げるとともに、ますますのご発展を祈念いたしまして、ごあいさつといたします。
企画・制作/日本農業新聞 広報局